名前から探す ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行    
用途から探す 漢方薬 製薬基源植物 日本薬局方生薬 民間薬・薬用 ハーブ・サプリメント 香料・香辛料 食用と嗜好品 染色・繊維 油脂 鑑賞用・その他    

キンミズヒキ(金水引)

商品写真
上:北九州 平尾カルスト台地 
下:白馬山麓

キンミズヒキ(金水引) Agrimonia pilosa Ledebour. var. japonica Nakai  
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
    バラ目Rosales
       バラ科Rosaceae キンミズヒキ属Agrimonia

  めでたい名前 覚えやすい花 

生薬名  :リュウゲソウ(竜牙草)
利用部位 :全草(開花期)
利用   :民間薬
名前の由来:タデ科のミズヒキに花の付き方が似ていて、花が黄色なので金色のミズヒキ、
      キンミズヒキ(金水引)となったと言われている。

晩夏から初秋にかけて枝先に小さな5弁の黄色の花穂を咲かせる。茎は多毛で丈が高く、30〜80cmになり分岐する。葉は5〜9個の小葉からなり、葉の縁はギザギザの鋸歯になっている。日本各地の日当たりの良い山野の道端や草地など、どこにでも自生している。
秋の野山を歩くとよくヒッツキムシがついてくる。キンミズヒキもヒッツキムシの一種で花の後の種が人や動物について運ばれ分布を広げていく。

名前の元になったミズヒキはタデ科で花が赤いのに対して、黄色であることからキンミズヒキといわれる。同じミズヒキの名がつくがキンミズヒキはバラ科なので葉の様子も全く異なる。ミズヒキが長楕円形に対し、周りにギザギザの切れ込みのある奇数羽状複葉で互生する。花は下から上へ順に咲いていく。祝儀袋にかかっている紅白の紐を「水引」というがタデ科の花は細い糸状の花穂に良く見ると紅白の小さな花をつけるので水引に因んで名づけられた。ともに花の時期は似ていて、野趣に富む姿・形をしている。

薬用には夏から初秋の開花期に全草を掘り採り、水でよく洗って天日で乾燥する。生薬名をリュウゲソウ(竜牙草)といい、下痢止め、口内炎、歯ぐきの出血、扁桃炎、胃潰瘍にもちいる。
花の後のガクは縁に鋭く内側に曲がる鈎状の棘が多くつき、秋には衣服や動物に引っ付き、果実を散布させる。
近縁種、アグリモニー(和名:セイヨウキンミズヒキ)も薬用には夏から初秋の開花期に全草を掘り採り、水でよく洗って天日で乾燥する。下痢止ハーブとして有名で、古くは外傷の治療に、又近年は葉が化粧水、整腸剤に利用されている。

主な成分と用い方
  ・イソクマリン類:アグリモノリド、
  ・フラボノイド性配糖体:ルテオリン
  ・タンニン:アグリモノイン
  ・カテキン類:ピロサノールA,B、C 
 薬用
  ・抗菌、消炎、鎮痛作用もあり、健胃、下痢止めに。
  ・歯ぐきの出血や口内炎、のどの荒れたときなどには、
  ・浴湯剤として、アセモや疲労回復、筋肉の疲れをとるときなどに風呂に用いられる。
  ・皮膚炎、うるしかぶれ、にきび、などに全草を煎じた液を湿布するか塗布する。
 食用
   春先の柔らかい若芽をおひたしや和え物に利用する。
 浴剤
   全草を風呂に入れる。疲労回復に効果がある。

名前の似た植物
ミズヒキ(水引)Antenoron filiforme Thunb  
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots
    ナデシコ目Caryophyllales
      タデ科Polygonaceae ミズヒキ属Antenoron

ミズヒキ丸山千枚田
Photo:熊野古道 丸山千枚田

小さな花(花弁ではなく4枚のガク)がまばらに細い茎につく。花を上から見ると赤いが、下から見えるガク片が白く見えるため、紅白のめでたい祝儀袋の紅白に因んで付けられた名。

“水引とは“
細い紙を糸状によってヒモを作る。縒りを強くし元の紙に戻らぬよう糊水を引いて固めて乾燥させて作ることから、「水引」になったとも、また紙縒りを着色水に浸し引きながら染めたので水引とも言われる。
水引は、古くは「こより」に糊を引いてかためてから染めて製造されていた。しかし、現在では装飾効果を高めるため、「こより」等の芯材の表面に糸や着色テープを巻き付けて構成している。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 秋・冬 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉(山と渓谷社)
  ・日本薬草全書 水野瑞夫、田中俊弘共著(新日本法規出版)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社) (コメント)


科目別の一覧