カラムシ(紵、茎蒸、幹蒸)

商品写真
上：熊野古道
下：京都府立植物園　花後、穂状に実った痩果の集団

カラムシ(紵、茎蒸、幹蒸)Boehmeria nipononivea　Koidaumi
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　　バラ目Rosales
　　　　　　イラクサ科 Urticaceae 　カラムシ属 Boehmeria

別名：マオ (真麻)、クサマオ（草真麻）、コロモグサ

古代からの織物用の繊維植物

漢字名　　：カラムシ（紵・茎蒸・幹蒸）
利用部位　：�〃圈´∈�、根茎
利用　　　：�〜＾欷粁繊´¬�用
名前の由来：昔は「茎、幹」を「から」と称していた。
　　　　　　茎（から）を蒸して皮をはぎ、その繊維を採って織物にしたことから茎蒸・幹蒸と
　　　　　　名付けられたと伝えられる。

本州、四国、九州、沖縄に自生するイラクサ科の多年草。原産地ははっきりしないが熱帯アジアが原産で、インド、中国などで繊維を採るために古代から栽培されてきた。本邦に渡来、帰化し現在は野生化している。
草丈は１〜１.５ｍにもなり、道端に大きく繁茂する大型の葉をもつカラムシ、多くの虫が好んで食べるので穴だらけになり、極めて見栄えがしない。
きれいな花が咲くわけでもなく、今や雑草扱いだか、古くは茎の皮からは衣類、紙、さらには漁網にまで利用できる丈夫な靭皮繊維が取れた事から栽培されていた貴重な植物。とても外観からは信じられない雑草のようなありふれた植物。多年草で地下茎を伸ばしながら繁茂するので群落を作ることが多く、刈り取りにも強く丈夫な植物。林の周辺や道端、石垣などのやや湿った地面に自生している。

類似した植物にアカソ、ソ、ヤブマオ などが雑草でよく見かけるがカラムシは葉が茎に互生し、裏面が綿毛のため白いので区別できる。 これらは古代から衣服の材料として使われ、縄文時代の遺跡から出土した糸の繊維は植物性のアカソやカラムシ等であり、絹や木綿等が普及する迄は日本各地で栽培もされていた。
現在、日本各地で野生化し自生するカラムシは、繊維用に有史以前から栽培されてきたものが野生化した可能性がいわれている。『日本書紀』持統天皇7年（693年）天皇が詔を発して役人が民に栽培を奨励すべき草木の一つとして「紵（カラムシ）」を挙げられている。カラムシの靭皮繊維は長く丈夫なことかから各地で織物が作られた。戦国時代、江戸時代も各有力大名の貴重な財源であった。
中世の越後国は日本一のカラムシの産地だったため、戦国大名上杉謙信も奨励しここから富を得ていたとのこと。
なかなか雑草のようなこのカラムシから連想することは難しいが、国の重要無形文化財に指定されている「小千谷縮・越後上布」など上質の織物の原料にもなっているということを知ると貴重な有用植物なのだなと実感させられる。
乾燥させた根、根茎は民間薬として利尿薬に利用される。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・野草の名前　秋、冬　高橋勝雄　（山と渓谷社）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男　監修（主婦の友社）
　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）


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