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ヒナタイノコズチ(日向猪子槌)

商品写真
上:熊野古道 風伝峠  鉤状の棘があり動物や衣服につく
下:生駒山登山道 

ヒナタイノコズチ(日向猪子槌)Achyranthes fauriei Leveille et Vaniot 
  真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots
    ナデシコ目Caryophyllales
      ヒユ科 Amaranthaceae イノコヅチ属 Achyranthes    


生薬名  :ゴシツ(牛膝)
利用部位 :根
利用   :日本薬局方生薬 漢方薬
名前の由来:日の当たる日向によく自生し茎の節がイノシシの子(うり坊)の膝頭に似ている、
      又イノシシの子の毛に付く「猪の子着き」からイノコズチという説など諸説ある。
      生薬名、ゴシツ(牛膝)も茎の節が肥厚し、牛の脚の関節に似ることに由来する。

日当たりのよい道端や荒地に自生する極、ありふれた雑草のような植物。葉は対生。茎は節で枝分かれする。8〜9月、緑色の目立たない小花を咲かせる。秋、小さな実は花軸に沿うよう下を向く、苞が鋭く尖り人の衣服や動物の毛にひっいて付いていく。「ヒッツキ虫」ともいわれる由縁になっている。分布をひろげていく巧みな戦略といえる。

根は細長く地中深く伸び肥厚し引き抜きにくい。この根が薬になり漢方薬にも配合される。とてもそのような薬草には見えないが月経不順、利尿、腰痛、関節痛、強壮などに利用される。

イノコズチには日陰で多く観られる「日陰猪の子槌」と逆に日向で多く観られる「日向猪の子槌」があり、日本薬局方では薬用には「日向猪の子槌」を使用する。「日陰猪の子槌」は「日向猪の子槌」に比べて根が大きくならないので薬用としては適さない。
茎の節の部分の肥大は虫こぶでイノコズチウロコタマバエの卵や幼虫が中にいるため肥大する。

イノコズチに含まれる成分の特徴として昆虫変態ホルモンのエクジステロン、イノコステロンを含んでいる。昆虫の脱皮や変態を促すホルモン、ヒドロキシエクジソンの前駆物質で、イノコズチを食べた昆虫は早めに成虫なり、イノコズチ自体は食べられる食害を免れる自己防衛の仕組みになっている。

成分
 ・オレアノール酸をゲニンとするサポニンを含み、多量のカリウム塩、少量の粘液質を含む。
 ・植物エクジソンとされる変体ホルモン、エクジステロン、イノコステロンを含む。

利用
 浄血作用、利尿作用、通経作用が期待でき、神経痛、腰痛、関節炎、膝の痛み、脚気、
 リウマチ、生理不順、利尿、強精 などの効果がある。
 主に漢方処方用薬であり、婦人薬とみなされる処方及び、その他の処方に少数例配合される。
 (ただし妊婦、月経過多、下痢の人には不適。用いない。)

牛膝を含む漢方処方例
  ・牛膝散  (ごしつさん)
  ・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
  ・疎経活血湯(そけいかっけつとう)
  ・折衝飲  (せつしょういん)
  ・大防風湯 (だいぼうふうとう)


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)

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