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イチジク(無花果)

商品写真
上:小豆島 宝生院 三裂掌状葉のイチジク
下:岡山吹屋 広兼邸 五裂掌状葉のイチジク

イチジク Ficus carica Linnne  
 真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
  バラ目Rosales
    クワ科 Moraceae イチジク属 Ficus

  花も咲けば実も実るイチジク「無花果」 

利用部分 :果実、葉(生葉、乾燥葉)
名前の由来:毎日1つずつ熟すことから「一熟」→「いちじく」になったという説
      ひと月で実が熟すため「一熟」→「いちじく」になったという説

原産地は小アジア。はるか昔にアラビア半島で誕生したイチジクは、少なくとも6000年前に栽培が始まったといわれている。
楽園を追放されたアダムとイブが自身の裸を隠すのに使ったのもイチジクの葉といわれ、アダムとイブの絵画にイチジクの葉が描かれている。旧約聖書にも登場するなど、非常に歴史のある植物。
地中海地方では古くから知られ、古代ローマ時代には身近なフルーツとして人々に日常的に親しまれていたそうだ。

日本には江戸時代初期、寛永年間、ペルシャから中国を経て、長崎に伝来した。当初は薬樹としてもたらされたそうだが、やがて果実を生食して甘味を楽しむようになった。挿し木で容易にふやせることもあいまって、北海道以外ならどこでも生育し手間のかからない果樹として家庭の庭などにもひろく植えられる。

葉は厚めで大きく、三裂または五裂掌状で互生する2種類のイチジクがある。日本では、浅く三裂するものは江戸時代に日本に移入された品種で、深く五裂して裂片の先端が丸みを帯びるものは明治以降に渡来したもの
葉の裏には荒い毛が密生している。葉や茎を切ると白い乳汁が出るが、この液はフィシンというタンパク分解酵素(一種の消化酵素)で、頑固なイボ取りに効くことで知られている。イボ痔にも有効であることが、安政年間に出版された「救民単方」に「イボ痔には無花果の葉を煎じて洗ってよし」とある。浴用として葉を一枚刻み袋にいれ風呂に入れるとイボ痔や神経痛に効く。それだけでなく消化酵素が皮膚の古くなった皮膚の表面を溶かすので美肌効果も期待できる。

果物は生食しても栄養価が高くビタミンB1、B ビタミンC、糖分、クエン酸、リンゴ酸、カルシウム、カリウム、鉄分などのミネラルまた、タンパク分解酵素フィシン、食物繊維ペクチンなどを豊富に含んでいて、消化促進、便通に薬効がある。カリウムは血圧を下げる効果があるので、高血圧や動脈硬化などの防止に役立つ。


イチジクはあたかも花がないままで果実ができる様なところから無花果といわれているが、実際は花軸が肥大化した花嚢の内面にびっしりと無数の花を咲かせる。外から直接見えない構造になっているだけ。食べている部分は果肉ではなく無数の花の花托(かたく)。

効用 利用
 果物:生食、ドライフルーツ、ジャム、シロップ漬
    高血圧予防、動脈硬化予防、便秘改善
  :生葉、乾燥葉
    浴用:イボ痔、美肌効果 
    煎薬:緩下薬、血圧降下

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・日本の薬草全書 中山草司  (啓明書房)
  ・食材図典   (小学館)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社)

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