インドボダイジュ（印度菩提樹）

商品写真
上：京都府立植物園　温室
下：大阪市立大学附属植物園　葉の先端が長く伸びるのが特徴

インドボダイジュ（印度菩提樹）Ficus religiosa　Linne　
　　真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　バラ目Rosales
　　　　　クワ科Moraceae　イチジク属 Ficus

お釈迦さま“悟りの木”

利用部位：樹皮、樹液
利用　　：民間薬、蝋

インド、セイロン、ビルマなどに生育する常緑の高木。
お釈迦さまが苦行の末、この木の下で悟りを開いたという菩提樹はクワ科のインドボダイジュ。
仏教では神聖な樹として崇められ単にボダイジュといわれ、インドでは各地に植えられている。
しかし日本では、同じボダイジュの名がある、アオイ科シナノキ属のボダイジュTilia miqueliana
Maximが、お寺などに植えられているので間違いやすい。仏教が中国に伝わるにつれ仏陀が悟りを開いた樹として、中国から日本へ臨済宗の開祖栄西によってシナノキ属の菩提樹がもたらされた。クワ科のボダイジュは寒さに弱く日本では露地栽培は難しかったのかもしれない。

もう一つ紛らわしいのは、シューベルト作曲の菩提樹「リンデンバウム」（泉に添いて　茂る菩提樹　したいゆきては　うまし夢見つ・・・）は、ヨーロッパの都市に植えられているセイヨウシナノキ（西洋菩提樹）菩提樹(Linde)を歌ったもので、これも植物が異なる。私たちが思う菩提樹で表される木には３とおりの木があるということになる。お釈迦様の悟りの木は寒さに弱く、露地植えは無理。また花もシナノキ属のような花に比べ地味なので、日本のお寺には広まらなかったのではないかと思う。

インドボダイジュは初めは樹上着床して成育し、後、支柱根を多くたらして自立する。葉は長さ９〜１７ｃｍ、３角状卵形、先端が長く伸びその長さは葉身の２分の１〜３分の１にもなる。

現地では、材から数珠を作る。樹液は封蝋、樹皮は製紙に。葉はカイコの飼料にもなる。民間では幹皮を糖尿病、根皮を胆嚢病に用いるという。

ボダイジュの名が付くセイヨウシナノキTilia europaea Linne
真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞バラ類Rosids＞アオイ群Malvids
　　　アオイ目Malvales
　　　　　アオイ科Malvaceae　シナノキ属Tilia

　　別名：リンデン　リンデンバウム

　　　　　セイヨウシナノキ花
Photo：花博記念　鶴見緑地公園

シューベルトの“菩提樹”に歌われるボダイジュはこの木、セイヨウシナノキ。
欧米ではよく街路樹にされる。（APG�景�類ではシナノキ科よりアオイ科に移動）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）
　　・花と樹の事典　木村二郎（柏書房）

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