コウゾ(楮)Broussonetia kazinoki × B. papyrifera
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
バラ目Rosales
クワ科 Moraceae コウゾ属Broussonetia
和紙の原料
生薬名 :楮実子
利用部分 :果実
名前の由来:紙の原料にされていたことから、紙麻(かみそ)と呼ばれていたのが「かみぞ」
「こうぞ」に変化したとの説。
コウゾの樹皮の強く長い繊維はジンチョウゲ科のミツマタ(三椏)ガンピ(雁皮)とともに和紙の主要原料になっている。樹皮をはいで蒸し、水に浸した後、叩いて砕いて繊維をほぐして用いる。衣料として利用も古く、コウゾから布も作られ、栲(たえ)と言われている。
コウゾ属は東アジアが原産でコウゾ、ヒメコウゾ、ツルコウゾ、カジノキなどが属す。本邦の山野に自生する野生種をヒメコウゾ、栽培種を単にコウゾの名で区別する。
栽培種コウゾは野生種ヒメコウゾ(Broussonetia kazinoki Sieb)とカジノキ(Broussonetia papyrifera Vent)の雑種で、ヒメコウゾに近いもの、カジノキに近いものがあり和紙の原料にはカジノキに近いものが用いられる。
高さ5~6m位になり葉は基本的にはカジノキの卵円形をしているが、クワに似た卵形で先がとがり、2~5つに裂けるものもある。
雌雄異株。4月頃開花し6月頃には紅色の球形のキイチゴに似た集合果をつける。甘くて美味しい。漢方では滋養・強壮薬にする。
尚、同じ株に雄花、雌花と付く雌雄同株はヒメコウゾ、区別できる。
植物の外皮の下にある柔らかな内皮が和紙原料に利用される。
江戸時代は農家の副業にチャ、ウルシ、クワ、コウゾが“産業の四木”として盛んに栽培された。
コウゾは往時とは生産量は減少したものの今なお和紙の原料として、重んじられている。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
・日本の樹木 (山と渓谷社)
・日本の野生植物 木本Ⅰ (平凡社)
・花と樹の事典 木村二郎(柏書房)
所属「科」などは近年の遺伝子DNA配列に基づく、新分類体系APGⅢ方式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています(T.K)