名前から探す ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行    
用途から探す 漢方薬 製薬基源植物 日本薬局方生薬 民間薬・薬用 ハーブ・サプリメント 香料・香辛料 食用と嗜好品 染色・繊維 油脂 鑑賞用・その他    

ナズナ(薺)

商品写真
上:岡山県真庭市の畑にて 紫の花はシソ科のホトケノザ。
下:熱海梅林

ナズナ(薺)Capsella bursa-pastoris Medicus
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>アオイ群Malvids
   アブラナ目Brassicales
     アブラナ科 Brassicaceae(Cruciferae)ナズナ属Capsella

 別名:ペンペングサ

利用部位 :全草
利用   :食用(若葉の頃) 薬用(花時)
名前の由来:撫でる菜。撫でるように愛らしい菜という説。朝鮮古語で薺をナジと発音、ナジの菜
      がナズナになったのではないという説など。
      別名、ペンペン草は果実の形が三味線のバチに似ているためという。

ナズナという名よりペンペン草の名の方が分かりやすい。下Photoはペンペン草の名前の由来にもなった三味線のバチ状の種を撮ったもの。中に多くの種子が入っている。種子も利尿薬になる。
生命力旺盛で、荒地にもよく生えるので「ペンペン草が生える。ペンペン草も生えない」など荒れ果てた様子。転じて荒廃した場所で育つペンペン草でさえ生えない、何も残っていない形容に使われあまり喜ばれないが、アブラナ科の一員で白い小さい花びらが4枚ありきれいな十字形をしている。花の後に出来る逆三角形の実の中には多数の種子が入っている。

畑や水田、道端、荒れ地など何処にでも生える雑草のような草だが、春の七草の中の1種。

正月7日の朝、七種の草を入れた粥をたいて無病息災を祈る粥の摘菜とされる。現在は七草粥以外ではあまり食用にはされないが、平安の昔から食用に供されてきた。江戸時代はナズナ売りが居たようで庶民の食卓にも上った。春の訪れとともに青々とした若草は冬季の若菜として貴重な存在であり、薬食としても珍重されたのだろう。カロテン、ビタミンCに富み、鉄、カルシウムも多い。
食用にはゆでておひたしに、汁の具、あえものに、また衣をつけて天ぷらにする。食べられるのは花が咲かない早春まで。薬用には逆に花の時期、全草を採取し陽干し乾燥させる。利尿、解熱、止血作用がある。


ー春の七草ー
セリ(芹)、ナズナ(薺)、ゴギョウ(御形、母子草のこと)、ハコベラ(繁縷)、ホトケノザ(仏の座、田平子のこと)、スズナ(蕪)、スズシロ(大根)
      の7種
上Photoの紫の花はホトケノザの名があるが春の7草のホトケノザではない。7草のホトケノザはキク科でタビラコのこと


シソ科のホトケノザ(仏の座) Lamium amplexicaule Linne
   シソ科Lamium オドリコソウ属amplexicaule
     ホトケノザ城陽
        Photo:京都府城陽市の畑

現在ホトケノザの名で思い浮かぶ植物が、本種。畑や休耕地でよく見かける雑草的な花だが春の七草のホトケノザとは異なる。食べれない。春の七草のホトケノザはキク科のタビラコのことをいう。こちらは自然環境の変化ですっかり見かけなくなった。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 春 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・美味しい山菜 おくやまひさし(文一総合出版)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)

科目別の一覧