オウレン/キクバオウレン(菊葉黄連)Coptis japonica var. japonica Sakata
真正双子葉植物 Eudicots>基部真正双子葉植物 Basal Eudicots
キンポウゲ目 Ranunculales
キンポウゲ科 Ranunculaceae オウレン属 Coptis
日本薬局方、オウレン(黄連)Coptis japonica Makinoの変種
生薬名 :オウレン( 黄連)
利用部位 :根茎
利用 :漢方処方用薬、伝統・伝承薬原料
植物起源医薬品(Drugs of plant origin) 塩化ベルベリン(Berberine)止瀉薬の原料
名前の由来:葉は3出の複葉で、葉が菊のように見え、根が黄色であることから。
北海道西南部、日本海側に分布。針葉樹林の林床に自生する越年性の多年草。他のオウレンの仲間に比べ葉の切れ込み少ない3出複葉、小葉の形はキクの葉に似る。根茎は黄褐色で地中を斜めに這い、黄色のひげ根を多く出す。本種は古来から”加久末久佐“(カクマグサ)と呼ばれていたのを、平安時代に中国のオウレンと本種が同じと思い込まれてオウレンの名がつけられたそうだ。
早春、未だ雪解けの冬枯れの頃、花茎を伸ばし先端に白い可憐な花を咲かせる。花は雄しべ、雌しべ両方備わった両性花と、雄しべのみ、雌しべのみの単性花がある。一般に雄花、雄しべが咲きに開花する。
5~6枚の白い花びらに見えるのは“がく片“が変化したもの。実際の花弁はその内側に数枚あり”がく片”より短い。雄しべは多数で先端に黄色い花粉をつける。真ん中には淡い赤紫を帯びた突出する数個~10数個の雌しべがある。両方あるのが両性花。雌しべのみの単生花は珍しい。花後、輪状に並ぶ袋果が実のり、数個の種子が入っている。内側の上部には穴があいていて風に吹かれるたび揺れて種が飛ぶ仕組みになっている。
秋、根茎を掘り出しひげ根を取り除いた黄色い根茎は、生薬オウレンとして胃腸薬などに利用する。(薬効、利用法などはセリバオオレンと同じ)
主要成分
・アルカロイド:ベルベリン、パルマチン、コプチシ
・その他:マグノプロリン、フェルラ酸
用途
漢方では苦味健胃整腸薬、漢方では上半身の炎症、精神不安、イライラ、心窩部のつかえ、
下痢などを目標に用いる。
キクバオウレンの葉の形
参考文献
・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
・山渓名前図鑑 野草の名前 春 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社)
・薬になる花 田中孝治 (朝日新聞社)
・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
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