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ハスノハカズラ(蓮の葉葛)

商品写真
上:宮崎 都井岬
中・下:大阪薬科大学 薬用植物園 ハスノハカズラの蕾と花

オオツヅラフジ(大葛篭藤)Sinomenium acutum (Thunb.) Rehd. Et Wilson
  真正双子葉植物 Eudicots>基部真正双子葉植物 Basal Eudicots
   キンポウゲ目 Ranunculales
     ツヅラフジ科 Menispermaceae ツヅラフジ属Sinomenium

別名:ツヅラフジ、アオカズラ、ツタノハカズラ
  
生薬名  :ボウイ(防已)
利用部分 :茎および根茎: 
利用   :漢方薬、日本薬局方生薬、民間薬 
名前の由来:つる性の植物なのでこの茎を使い籠やつづら(葛籠)を編んでいたことによる名。
      防已の“已”は止める、やめるで敵を防いで止めるの意味。

日本、台湾、中国に分布する。本邦では関東以西、四国、九州などの暖地の山地や林縁などに自生する落葉性で蔓性の木本植物。蔓は長く伸び樹木などに絡みつき、高さ10m、茎の太さ1cm位にもなる。樹木をすっかり覆ってしまうくらい生育していることもある。雌雄異株。葉は互生して長い葉柄をつけ葉身は円形から卵円形、若木や茎の下の葉はでしばしばまたは5〜7浅く裂けるか中裂するなどその形は変化に富んで同じ株でありながらいろいろの形をしている。
夏、7月頃淡黄緑色で小さい円すい状の花を咲かせる。

蔓性の茎や根茎を乾燥させたものが生薬のボウイ(防已)。アルカロイドのシノメニン、ジシノメニンなどを含み利尿、消炎、鎮痛作用があることからリウマチ、神経痛などの漢方処方にも用いられる。
主な成分
 アルカロイド:シノメニン、ジシノメニン、イソシノメニン、シナクテン、ツヅラニン、
       マグノフロリンなど

漢方処方薬例
主として漢方処方薬として、下半身のむくみ、関節の水腫、腹水など利尿にまた関節痛、リウマチに対するむ浮腫、鎮痛を目標にも用いられる。

  ・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
  ・防已茯苓湯(ぼういぶくりょうとう)
  ・疎経活血湯(そけいかっけつとう)  など

ー防已の名の付く生薬ー  
   中国では防已として粉防已、広防已、木防已などを区別している。
中国産の防已 
・ツヅラフジ科 シマハスノハカズラStephania tetrandra S.Moore(粉防已、瓜防已)
  
 ハスノハカズラと同属、中国では漢防已と称される。江戸享保年間、苗が渡来。
 日本薬局方には大宇陀、森野旧薬園にその名残が生育されているとある。本草でいう防已は
 シマハスノハカズラであろう と言われ、かっては輸入されていたが現在は輸入されていない。
     成分、アルカロイドのテトランドリンtetrandrine
・ウマノスズクサ科のAristolochia fangchi(広防已)
  
     成分アリストロキア酸など
日本産の防已
・オオツヅラフジ(大葛篭藤)Sinomenium acutum (Thunb.) Rehd. Et Wi
  市販の防已は全て国産で四国を中心に長野、宮崎、鹿児島などの各県で産出するものを用いて
  いる。
    成分はシノメニンsinomenine、ジシノメニンなど
木防已  
   日本産、中国産ともにアオノツヅラフジの茎の木質部、根茎

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
  ・日本の樹木 (山と渓谷社)

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