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ゲットウ(月桃)

商品写真
上:大阪薬科大学薬用植物園温室 黄色い唇弁に赤い線の花。
下:石垣島 花の後の実

ゲットウ(月桃)Alpinia speciose K.Schumann
  単子葉植物 Monocots >ツユクサ群 Commelinids   
    Zingiberalesショウガ目 
      ショウガ科 Zingiberacea   ハナミョウガ属 Alpinia

生薬名   :シロデイズシュクシャ(白手伊豆縮砂)
利用部分 :種子 葉 
利用   :民間薬 ハーブ茶、エッセンシャルオイルなどアロマセラピーに、観賞用
名前の由来:漢名の月桃の読みから。

熱帯から亜熱帯アジアに分布し、日本では沖縄県から鹿児島県佐多岬などに分布する多年草。
沖縄県ではシャニン(砂仁)とも言う。漢方のシュクシャニン(縮砂仁)からの言葉と思われる。沖縄ではトウキビを束ねるとき、茎を縄代わりに使うようにとサトウキビ畑の縁にゲットウが植えられていた。大東島や八丈島、小笠原なども荷をくくるのにゲットウを使うことからソウカ、小笠原ではハナソウカとも呼んでいる。
今はもう縄の役目をすることはなくなったが、丈夫な線維は現在では紙の原料に利用される。

ゲットウの葉にはハッカと笹の葉、イグサの香りが入り混じったようなスーッとした香り、爽やかな芳香があり防虫効果、消臭効果、鎮静効果のある芳香剤して利用されている。
蒸留釜で精油を抽出し化粧品や抗菌スプレーに加工される。


沖縄では旧暦12月8日ゲットウの葉でくるんだ餅を蒸して子供の年の数だけ軒先につるし健康祈願、厄払いする風習があるとのこと。「ムーチー」と呼ばれ、ちまきのようなお菓子。ゲットウに抗菌・防虫効果があることから餅が傷まないそうだ。
葉にはポリフェノールが含まれているので、健康茶としてお茶などに利用される。
ポリフェノールは過剰な活性酸素の働きを抑制する作用があり、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞に有効とされている。連なって下垂する花は咲くと黄色い唇弁の奥が赤く、一際目立つ美しさから温室で観賞用に栽培される。

花の後9〜10月に実は赤橙色になり先にガクが残る。中に直径4mm程の種子が多数はいっていて白い種皮で覆われている。この種子も乾燥させて薬用にする。伊豆縮砂として、芳香性健胃薬にされる。伊豆縮砂は本来、ハナミョウガの種子を言うが、ゲットウも伊豆縮砂としても用いられるが、厳密には白手伊豆縮砂として区別する精油成分(シネオール)、フラボノイド(アルピノン、イザルピニン)を含み主に芳香性健胃、整腸の効果を持つ薬として利用される。
  

園芸用の栽培品種

キフゲットウ(黄斑月桃) Alpinia zerumbet 'Variegata'

キフゲットウ
Photo:宮崎県青島 亜熱帯植物園
葉に黄色い線状の斑入りのものを黄斑月桃(キフゲットウ)といい、実用面でなく、観葉植物として栽培される。いけばなの花材に用いられる。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
・花と樹の事典 木村陽二郎監修 (柏書房)
  

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