バショウ（芭蕉）
バショウ（芭蕉）Musa basjoo Siebold et Zucc
単子葉植物 Monocots ＞ツユクサ群 Commelinids
ショウガ目 Zingiberales
バショウ科 Musaceae バショウ属 Musa
英名：Japanese fiber banana
生薬名 ：バショウ（芭蕉）
利用部分 ：根 茎葉
利用法 ：民間薬、観賞用
名前の由来：中国名 芭蕉（バチヤオ）がもとになった。
バショウはバナナに似た葉や花の様子から、英名をJapanese fiber bananaという。
バショウ属の中では最も耐寒性が強く、関東以西の各地にも栽培される多年生草本。
バショウは俳人、松尾芭蕉が自身の俳号にした植物。彼が江戸深川に住んでいた時、門人から贈られた一株のバショウが見事に生い茂り、これに因み深川の住まいを芭蕉庵、自らも芭蕉と号したと伝えられる。
バショウの緑色の茎のように見えるのは何重にも巻き重なった葉柄が葉鞘を形成し高さ３ｍ程の偽茎になったもの。冬は葉が枯れるので偽茎の外側は茶色の葉柄で取り囲まれている。
夏〜秋にかけて茎頂から長い花序が垂れ下がる。バナナと同じで元の方が雌花部、先端部が雄花部で、各花段は苞に包まれる。雌花部の花軸は水平で殆ど下垂しないで先に咲く。雌花は受粉すると小さなバナナ状の実になるが、花序はさらに伸びて急に折れ曲がり長く下垂し先端に雄花部が付く。自家受粉を避けるように、それぞれの開花期がずれる。バナナの苞は濃い赤紫だがバショウは黄褐色の苞をしている。苞の中に見えるのが雄花。
民間薬には根を感冒、胃病、腹痛に用い、茎葉を利尿薬に用いる。
沖縄や琉球では同属のイトバショウ（リュウキュウバショウ）の葉鞘の繊維から採った糸で織物、芭蕉布を織る。琉球王国時代からの伝統的な織物で沖縄県大宜味村の芭蕉布は国の重要無形文化財に指定されている。
句碑「旅に病んで夢は枯れ野をかけ廻る ばせを」（芭蕉最後の句）の周りのバショウ。
Photo：南御堂 難波別院庭園、芭蕉の句碑の傍らのバショウ。
丁度、長く垂れ下がった花序の先に雄花が咲いていた。
芭蕉１５０回忌を記念し、芭蕉翁を偲び天保１４年（１８３４年）、天保の俳人達によって南御堂・難波別院に建てられた句碑。芭蕉は元禄７年（１６９４年）南御堂・難波別院の門前、花屋仁左衛門宅(現在は、御堂筋になっている）で５１歳の生涯を閉じた。
大津市 義仲寺
義仲寺は大津市膳所にあり、芭蕉の墓所。芭蕉が生前良く訪れていた寺。朝日将軍、木曽義仲の墓所であり義仲寺の名がある。大阪、南御堂前 花屋仁左衛門宅で没した芭蕉は、遺言により、木曽義仲の墓所の右隣に葬られた。
参考資料
・朝日百科 世界の植物（朝日新聞社）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・日本の野生植物 木本�供 癖針渕辧�
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
・芭蕉翁句碑 拓本の由来 （難波別院）
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