イトバジョウ（糸芭蕉）

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上・下：宮崎　県立青島亜熱帯植物園

イトバジョウ（糸芭蕉）Musa balbisiana Colla var liukiuensis(Matsum) Makino
単子葉植物　Monocots ＞ツユクサ群Commelinids
　　ショウガ目 Zingiberales
　　　　バショウ科Musaceae バショウ属Musa

別名：リュウキュウバショウ（琉球芭蕉）リュウキュウイトバショウ（琉球糸芭蕉）

利用部分　：茎（偽茎）
利用　　　：芭蕉布原料
名前の由来：繊維をとるバショウの意味。

バショウ属には５０種以上の植物が属し、西インド諸島、西アフリカ、熱帯アジアその他、熱帯地方に分布する。バナナのように食用にする物の他、イトバショウやマニラアサのように繊維を採るものまで幅広く重要な種類が多い。日本ではバショウとイトバショウの２種が自生する。

バナナやバショウ、イトバショウの全体の植物体は殆ど同じで一見しただけでは区別しがたい外観をしているが、花が咲くとよく分る。花は集合しそれを包む大きな苞が発達している。種類によって苞はピンクがかった赤、黄などに色づき区別できる。本来の花は苞につつまれているので花を包んでいる苞を観ていることになる。イトバショウの花はピンクがかった赤でバショウの黄色とは異なるので区別できる。実もなりバナナのように食べれないことはないが種が多く食用には不向き。

全体は４～５ｍ程になるが茎が１.７ｍぐらいに生育した時に偽茎を根元で伐採し外側から剥ぎ取り木灰汁で煮た後、竹串でかすを除き繊維だけを取り出す。この繊維で織られた布が芭蕉布で、与那国島から奄美にいたる島々で生産された。かつて旧琉球国ではサラットした風合いの芭蕉布が日常の衣服として、高温多湿のこの地方では欠かせないものとして好まれた。
現在でも沖縄県および奄美群島の特産品として生産される。沖縄県大宜味村　喜如嘉の芭蕉布は国の重要無形文化財に指定されている。

類似植物
バショウ（芭蕉）Musa basjoo Siebold et Zucc

句碑「旅に病んで夢は枯れ野をかけ廻る　ばせを」（芭蕉最後の句）の周りのバショウ。
　　　　　バショウ句碑

　　　　　　　
　　　　　　　Photo：南御堂　難波別院庭園、芭蕉の句碑の傍らのバショウ。
　　　　　　　　　　　丁度、長く垂れ下がった花序の先に雄花が咲いていた。

芭蕉１５０回忌を記念し、芭蕉翁を偲び天保１４年（１８３４年）、天保の俳人達によって南御堂・難波別院に建てられた句碑。芭蕉は元禄７年（１６９４年）南御堂・難波別院の門前、花屋仁左衛門宅(現在は、道路拡張で御堂筋になっている）で５１歳の生涯を閉じた。

参考資料
　　・朝日百科　世界の植物（朝日新聞社）
　　・日本の野生植物　木本Ⅱ　（平凡社）
　　・植物分類表　　大場秀章　編著　（アボック社）
　　・芭蕉翁句碑　拓本の由来　　（難波別院）

イトバジョウ（糸芭蕉）

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