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カイノキ(楷ノ樹)

商品写真
上・中・下:岡山閑谷学校 聖廟前の2本のカイノキ
一番下:湯島聖堂 幹から芽生えた枝葉

カイノキ(楷樹)Pistacia chinensis Bunge
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類 Rosids>アオイ群 Malvids
    ムクロジ目 Sapindales
     ウルシ科 Anacardiaceae カイノキ属 Pistacia

別名:ランシンボク(爛心木)、トネリバハゼノキ 


孔子木(孔子の木) 楷書の語源の樹    

利用:観賞用 庭園木

中国三東省曲阜の孔子廟に植えられた木として有名。
孔子の死後、弟子の子貢は師の墓前に楷の樹を植えたと伝えられる。
楷の樹は葉や枝が整然と付き、書道の楷書の語源となった木といわれ、上下秩序を尊ぶ儒教の教えにふさわしかったのだろう。儒学に傾倒していた徳川5代将軍 綱吉は湯島聖堂を創建し孔子を祭り朱子学を奨励した。

中国では殆ど全土に生育しているカイノキ(楷の木)だが、わが国には大正4年に林学博士白澤保美氏が山東省曲阜の孔子墓所を訪れたさい、墓上に落ちていた種子を持ち帰り苗木に育て植えたのが最初。同時に儒学に所縁の各地、足利学校、金沢文庫、岡山の閑谷学校などに苗木が分与された。

ここ閑谷学校の楷の樹は樹高15〜17mに達し、実に堂々とした巨木に育っている。2本対に植えられ、ウルシ科であることから秋の紅葉は見事で、2本のうちの1本は赤く、もう1本は黄色に色づくという。孔子と楷とは離すことができないものとなっている。湯島聖堂のカイ(楷)の木と共に閑谷学校のカイ(楷)の木も曲阜の孔子の墓所の樹の子孫に当る由緒ある木だ。

外観はハゼノキに似ている。花はつぼみ時は赤く果実は紫がかった藍黒色に熟す。(ハセノキの花は黄緑色、果実は黒褐色)
高さ20〜25mにも成る。葉は偶数または奇数羽状複葉。小葉は5〜9対。4月頃葉脇から円錐花序を出し花を咲かせる。蕾は赤色をしているが咲くと淡い黄色になる。閑谷学校の楷ノ木も 枝先に円錐花序の様子が見えるが、4月頃開花のためすでに花は終わっていた。


岡山 旧閑谷学校 (きゅうしずたにがっこう)
江戸時代前期、寛文10年(1670年)岡山藩主 池田光政公が創建した藩立の学校だが、武士の子弟のみならず、ひろく庶民の子弟のために門戸を開いた。現存する世界で最古の庶民のための学校。備前焼瓦で葺かれた学問所、講堂は国宝に指定されている。

東京 湯島聖堂
徳川五代将軍 綱吉は元禄3年(1690)湯島(現在文京区湯島)に聖堂を創建し儒学の振興に努めた。これが湯島聖堂の始まり。後、幕府直轄学校として、「昌平坂学問所(通称『昌平校』)」となり儒学中心の学校として明治維新まで続いた。現在は国の史跡に指定されている。
     聖堂
      PHoto:湯島聖堂 大成殿

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
  ・日本の樹木 (山と渓谷社)
  ・湯島聖堂 楷樹の由来 案内板



PHoto:東京 湯島聖堂の楷樹の幹から芽生えた枝葉
整然とした羽状複葉の様子が分る



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