タラヨウ（多羅葉）

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上・中：京都府立植物園　赤く熟した実と青い実
下・下：東京都薬用植物園　タラヨウの花　

タラヨウ（多羅葉）Ilex 　latifolia　Thunb
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞キク類Asterids＞キキョウ群Campanulids
　　　　モチノｷ目Aquifoliales　
　　　　　モチノキ科Aquifoliaceae　モチノキ属Ilex

別名：ジカキバ（字書き葉）、エカキバ（絵描き葉）

葉っぱに文字が書ける植物　郵便局のシンボルツリー

利用部分　：①葉　②樹皮　③材
利用　　　：①葉の裏面に字を書き、葉書として利用、茶の代用　②鳥もち　③ろくろ細工
名前の由来：インドでは経文を書くのにヤシ科のバイタラジュ（貝多羅樹）Corypha utan
　　　　　　が使われた。バイタラジュのように葉の裏面に字が書けるので、バイタラジュに因み
　　　　　　タラヨウ（多羅葉）の名がある。

本州（近畿、中国）、九州、など比較的暖かい地方に自生する樹高１５ｍにもなる常緑高木。
雌雄異株で春４～５月頃　淡黄色の小さな花を群生して咲かせる。
秋～冬、小さな球形の実は赤くなる。楕円形の大きな葉は肉厚で、葉の縁は鋸歯（ギザギザ)になっている。常緑の葉と赤い群生する実がみごとなことから庭園にも植えられる。特に類焼を防ぐ火事よけの防火用に植えられる。

葉の裏面をとがったもので傷つけると、傷口に含まれているポリフェノールが空気に触れ、細胞内のポリフェノール酸化酵素と反応し、酸化されて黒くなる。
この性質を利用し字を書くことができる。昔インドでは経文を書くのにヤシ科のバイタラジュ（貝多羅樹、Corypha utan）という木に書いたそうだ。日本名はオオギヤシだが之は自生しないので、同じような性質がこの樹の葉にあることから名をとりタラヨウとなずけた。

ちなみに郵便局の葉書も、葉に字を書くのに因んだ名だといわれている。タラヨウは郵便局のシンボルツリーとして、植えられているのを見かける事がある。モチノキ同様、鳥もちか採れる。

タラヨウの樹皮を水中で腐朽させた後、得られるゴム様粘液物質は約１０％。これを青もちという。葉緑素のため緑色を帯びる。粘着力はモチノキﾉの本もちに比べ劣る。

　　　　　タラヨウ看板

　　 Photo:東京都薬用植物園　タラヨウ説明版

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）
　　・日本の樹木　（山と渓谷社）
　　・花と樹の事典　木村二郎（柏書房）
　　・植物はすごい

タラヨウ（多羅葉）

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