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オキナグサ(翁草)

商品写真
上・中:東京薬科大学 薬用植物園 オキナグサの花
下:大阪薬科大学 薬用植物園

オキナグサ(翁草) Pulsatilla cernua (Thunb.) Bercht. et C.Presl
  真正双子葉植物Eudicots>基部真正双子葉植物Basal Eudicots
    キンポウゲ目Ranunculales
     キンポウゲ科 Ranunculaceae  オキナグサ属 Pulsatilla

 万葉集名:ねつこぐさ

生薬名  :ハクトウオウ(白頭翁)
利用部分 :根(7〜8月にかけて根を掘り出して水洗した後、日干しにする)
利用   :漢方薬
名前の由来:花後にできるタネに白く長い毛があり、そのタネが密集して風にそよぐ姿を老人の
      白髪に見立てたもの。
      ”ねこつぐさ”の名は花の外側が白い毛でつつまれている姿が猫の毛のようなので。

オキナグサは日本(本州・四国・九州)、中国、朝鮮半島に分布する多年草。日当たりのよい草地や礫地に自生する。かつては平地でもよく見られたが、近年はよほどの山間僻地でないと自生は見られない。 楚々とした可憐な花姿が山野草として好まれるのか、乱獲され現在、絶滅危惧種に指定されている。

細かく切れ込んだ羽状の葉を地面の際からのばし、春4月頃に花茎を伸ばしてその先端に濃い赤みがかったチョコレート色の花をうつむき加減に咲かせる。花びらに見える部分は正確には6枚のがく片で、本来の花弁はない。茎葉、つぼみなど全体に綿のような白毛でおおわれる。その様子が猫の毛のように感じられることから、万葉集では”ねこつぐさ”の名で歌に詠まれている。
花後に光沢のある白い長い毛のついた果実ができる。その姿を白髪あたまに見立てて、オキナグサ(翁草)の名前がある。

中国、朝鮮ではヒロハオキナグサPulsatilla chinensis、チョウセンオキナグサPulsatilla koreanaの根を生薬、ハクトウオウ(白頭翁)と称している。いずれもキンポウゲ科に特有のプロトアネモニン、及びその縮合物アネモニン、ラナンクリン、その他サポニンを含む有毒植物。アネモニンは強力な心臓毒作用があるので、取り扱いには十分な注意が必要。抗アメーバ原虫作用があることからアメーバ赤痢のような熱を伴う出血性赤痢に漢方処方 白頭翁湯として使われる。生薬ハクトオウ(白頭翁)単独では用いない。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・原色和漢薬図鑑 上 難波恒雄 著 (保育社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男監修 (主婦の友社)
  ・野草の名前 春 高橋勝雄 (山と渓谷社)
  ・植物分類表 大場秀章 編著 (アボック社)
  ・花と樹の事典 木村二郎(柏書房)


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