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オオムギ(大麦)

商品写真
Photo:春日大社 万葉植物園  コムギに比べ穂が太い

オオムギ(大麦)Hordeum vulgare Linne
   単子葉植物 Monocots >ツユクサ群Commelinids
    イネ目Poales
     イネ科 Poaceae  オオムギ属 Hordeum

利用部分 :種皮を除いた種子
利用   :食用、薬用、麦芽、水あめ原料、ビール醸造原料
名前の由来:漢名の「大麦(だいばく)」を訓読みしたもの

オオムギはイネ、コムギ、トウモロコシに次いで世界で4番目に多く栽培されている穀物。麦飯にされているムギで、以前は単にムギといえばオオムギの事を指した。秋蒔きの1年草で、かつては農家の裏作に多く植えられていた。刈取りがすんだ田んぼに 秋に種を蒔いて、初夏に収穫する。黄色く実った小麦の風景は麦秋として俳句の季語にもなっていたが、近年は減少している。

コムギに比べ穂が太く。長い”芒(のぎ)”がある。のぎのない品種もある。
高さ70〜100cm程に成長する。茎の先に長さ4〜8cmの穂状の花序が出て、軸の周りに小穂を密集させる。小穂には柄がなく、軸の片側に3個ずつ集まって束生するので、両側あわせて6列並ぶように見え、このオオムギの品種を六条オオムギという。日本で栽培される品種の大部を占める。

また、3個ずつ並んだ小穂の真ん中の1個だけ”芒(のぎ)”があって種子をつけ、両側の2個は退化し”芒(のぎ)”もない品種がある。穂を上から見たときに、対角線上にある2つの列だけが種子をつけ、あたかも、穂の列が2つしかないように見えるので二条大麦と呼ばれる。平べったい形になる。穂の形によって六条オオムギ・四条オオムギ・二条オオムギに分けられ、それぞれの特性によって利用方法が異なり、私たちの食卓を豊かにしてくれている。

成分
 ・食物繊維が豊富で、整腸作用があり、コレステロールの吸収、血糖値の急上昇抑制などにより
  生活習慣病を防止する
 ・豊富なビタミンB群(B、B、B)は新陳代謝を促進する。
 ・抗酸化作用のあるミネラルのセレンも含まれているので、がんの予防効果が期待できる。 ・

オオムギの種類と用途
六条オオムギ(カワムギ、ハダカムギ)
・加工し穀物として食べたり、飲み物にする。このままでは消化しにくいので、熱水蒸気で軟化しローラーで扁平に押しつぶし、押し麦にする。かつては日本でのオオムギの主要な用途は主食用であり、麦飯として米と混炊して食べられた。現在は白米が主食の中心になっているが、栄養価の面からも、又近年の健康思考からも麦飯が見直されてきている。コムギのタンパク質が粘りのあるグルテンであるのに対し、オオムギのタンパク質はホルデインと呼ばれ、粘りがないのでパンや麺には向かない。
種子を精白したものが丸ムギで、麹を生やして醤油、味噌などの発酵食品の原料にする。
・炒って挽いた粉は、はったい粉(麦焦)として麦落雁や和菓子利用される。
・炒って麦茶に
・発芽させて麦芽を作る。麦芽は、アミラーゼを含み液化、糖化力が強くアルコール、ビール製造原料にするほか、水あめ を 製造するのに使われる。
・漢方では栄養価の高さから、滋養強壮薬に、また脚気にも用いられる。
  漢方処方例
   半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

二条オオムギ
・粒が大きく、別名、ビールムギといわれる。発芽された麦芽はビールの醸造に適している。
ビール製造地帯では主に栽培されているのは二条オオムギ
四条オオムギ
6列の小穂が3個ずつ平行に並び穂が殆ど四角柱に見えることからの名。ヨーロッパなどでは栽培される。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・万葉の植物 松田修著  (保育社)
  ・花と樹の事典 木村二郎 (柏書房)
  ・食材図典 (小学館)
  ・食材事典 廣田孝子監修 (学研)
  ・植物分類表  大場秀章 編著 (アボック社) 

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