ハトムギ（鳩麦）

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上：都立小金井公園
中：ハトムギの開花
下：ヨクイニンと焙じハトムギの比較

ハトムギ（鳩麦）Coix lacryma-jobi Linne　var. myuena　Stapf
　　単子葉植物　Monocots ＞ツユクサ群　Commelinids　　　
　　　　イネ目 Poales
　　　　　　イネ科 Poaceae 　ジュズダマ属 Coix　
　
　　　別名：シコクムギ

　美容と健康に、「いぼ」とりに効果的

生薬名　　：ヨクイニン（薏苡仁）
利用部位　：①種皮を除いた種子　②皮付きの種子
利用　　　：①日本薬局方生薬、漢方処方用薬、民間薬　②健康茶
名前の由来：鳩が食べる麦という事から、明治以降にハトムギの名がついた。
　　　　　　それ以前はシコクムギ、トウムギの名で呼ばれていた。
　　　　　　学名の変種名、myuenaは後漢の武将馬援（ばえん　Ｍａ　Yuan）が南方から本種、
　　　　　　ハトムギを持ち帰ってきたことに因む。

タイやカンボジアあたりの東南アジアが原産。元々は熱帯、温帯に自生し、日本の各地で食用、薬用として栽培される一年草。同属で原種のジュズダマの栽培種。両者は非常によく似ているが、ハトムギは一年草で殻は薄いのに対し、ジュズダマは多年草で種子の殻が固く厚いので見分けられる。種皮を除いた種子が生薬のヨクイニン（薏苡仁）、神農本草経には、「筋肉が異常に緊張して引きつり屈伸できないもの、関節炎、リウマチ様の関節痛、疼痛のあるものによい。」とあり、「久しく服すれば強壮薬になる。」とあることから多くの漢方処方に、ヨクイニンが配合される。

花期は８～９月。葉脇の軸から数本の穂状の花序をつけ、秋には実を結ぶ。
春まき（4月上～中旬が適期）し、9月下旬、果実が熟する頃、刈り取り２～3日乾燥した後脱穀する。必ずしも精白の必要はない。脱穀していないものはハトムギと称し、市販されハトムギ茶など健康食品に多用されている。

民間薬では、イボとりとして汎用される一方、ヨクイニンの主成分、脂肪油、コイキセノリドは肌を滑らかにする美肌効果に優れていといわれている。デンプン５０～７９％、蛋白質１６～１９％、脂肪油７％、多糖類等を含有し、栄養的に優れていて滋養強壮薬にされる。又、近年発芽種子より抗菌性を有すcoixindenＡ、Ｂが単離されている。　

成分
　　・デンプン５０～７９％　
　　・タンパク質１６～１９％、
　　・脂肪油、脂肪酸７％（パルミチン酸、ステアリン酸、シス-８-ステアリン酸のグリセリド）
　　・多糖：コイキサンＡ、Ｃ　
　　　微量の抗腫瘍性物質コイキセノリド（コイキセノライド）

主な効果
　　・イボ取り、肌荒れ、滋養強壮、神経痛、リウマチの消炎鎮痛、　腫れ物の排膿に
　　・利尿作用　膀胱結石にも
漢方処方例
漢方処方薬であり、利尿、消炎、鎮痛、排膿などを目的とした解熱鎮痛消炎剤とみなされる漢方処方、薏苡仁湯、麻杏薏甘湯などが代表例だが、筋肉痛、腰痛症、慢性関節リウマチ、筋肉リウマチに効果のある処方や、その他の処方に配合される。
　　・桂皮茯苓丸料加薏苡仁（けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん）
　　・薏苡仁湯　　　　　　（よくいにんとう）
　　・麻杏薏甘湯　　　　　（まきょうよっかんとう）
　　・参苓白朮散　　　　　（じんれいびゃくじゅつさん）

民間療法として、滋養、強壮、いぼや肌あれに（肌をなめらかにする）効果があり美肌効果に優れているとして用いられる。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第１５改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）　　　
　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男監修　（主婦の友社）
　　・野草の名前　夏　高橋勝雄著　（山と渓谷社）

ハトムギ（鳩麦）

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