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ガマ(蒲)

商品写真
上:大阪市立大学 附属植物園
中:草津市水性植物園
下:出雲大社 大黒様と白兎

ガマ(蒲)Typha latifolia  Linne 
  単子葉植物 Monocots >ツユクサ群 Commelinids
   イネ目Poales
    ガマ科Typhaceae ガマ属 Typha

  因幡の白兎の物語に登場する蒲  

生薬名  :ホオウ(蒲黄)
利用部位 :花穂の黄色い花粉
利用   :民間薬 

池や沼、川の縁などの泥地に生える多年生の草本。熱帯から温帯にかけて、広い地域に生育する。1属10数種が知られている。「ガマの穂」と呼ばれる円柱状の花序が最も特徴的で、上部には雄花穂、下部に雌花穂がそれぞれ分かれて付いている。ともに小さな花が多く集まって穂になっている。雄花穂は花粉を散らしたあとは脱落する。雌花穂はまるで串にさしたソーセージような形で残る。実にユーモラスな形をしているので、よく生け花の花材にされる。

日本には「ガマ(蒲)」、「コガマ(小蒲)」「ヒメガマ(姫蒲)」の3種が野生していて、穂先の形で分類される。茶色い円柱状はガマの雌花穂、雌花穂の直ぐ上の軸には間隔を空けず雄花穂がついている。雄花が散ったあとには雄花穂が付いていた軸が残る。晩秋、茶色の穂は白い綿毛の固まりになり、風に吹かれてバラバラになり飛んでいく。雄花穂、雌花穂がくっているガマに対してヒメガマは雄花穂と雌花穂がつながらず2〜5cm位は離れているのが特徴。ガマ、コガマは此の部分がくっついている。コガマはガマに比べ小さく花穂も短いので区別できる。

ガマは古事記に伝える日本神話「因幡の白兎」でよく知られている。ワニに皮をはがれた白兎に大国主命は「水門の蒲の黄(はな)をまき散らし、その上にこい転べば汝が身、本の膚のごとく必ず癒えむ」と指示したと伝えられる。皮をむかれて赤裸になったウサギがくるまるよう教えられたのは、童謡に歌われるカマの穂綿ではなく、蒲黄、花粉のこと。花粉に止血効果があり、傷を治してくれる。

カマの花粉は奈良時代以前にすでに傷薬として使われていた。漢方ではガマの花粉を集めたものをホオウ「蒲黄」と称し、消炎性の利尿薬や外用薬として、傷口にふりかけ止血に使う。なお本邦ではホオウ「蒲黄」には、どの種類でも薬効に変わりはないが、採取しやすいヒメガマの花粉を用いることが多い。
成分 
 脂肪酸 Isoーrhamnetin(イソラネチン)の配糖体など
 
ガマの種類は穂の形で見わけるのがコツ

ヒメガマ(姫蒲)Typha angustata Bory et Chaubard  

ガマ
           Photo: 京都府立植物園
上の雄花穂と下の雌花穂がつながらず2〜5cm位の間隔があき、緑色の軸が見えているのが
ヒメガマの特徴。ホオウ(蒲黄)は本邦では、本種、ヒメガの花粉を採取することが多い。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男 (主婦の友社)
  ・山渓ポケット図鑑 夏の花   (山と渓谷社)

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