アマドコロ(甘野老）

商品写真
Photo；大宇陀　森野旧薬園　互生する葉の付け根から筒状の花がぶら下がる。葉は楕円形

アマドコロ(甘野老）Polygonatum odoratum　Druce　var　japonicum　Hara　
　単子葉植物　Monocots
　　キジカクシ目Asparagales
　　　キジカクシ科（クサスギカズラ科ともいう）Asparagaceae （←ユリ科 Liliaceae）　
　　　　　　ナルコユリ属Polygonatum

生薬名　　：イズイ（萎蕤）・ギョクチク(玉竹）
利用部分　：根茎
利用　　　：薬用、民間薬　
名前の由来：地下茎がヤマノイモ科のトコロ(野老)に似て、苦いトコロと異なり甘みがあるため。

初夏　野山の樹林帯を散策すると林床に筒状の淡い緑がかった白い花を下向きにつける風情ある山野草が眼にとまる。アマドコロだ。地下茎を長く伸ばして、春に芽を出し群生する。
草丈は４０〜７０ｃｍ程。茎は枝分かれせず１本で弓型に伸び、長い楕円形の葉を互生する。５月頃、葉の下に淡緑白色の２ｃｍほどの筒形の花を下向きにつける。後、黒い球形の果実になる。
同属のナルコユリ (P. falcatum) と花の姿かたち、風情がよく似ていて間違えやすい、ナルコユリの葉は細長くユリに似ているのに対し、アマドコロは丸い楕円形なので区別ができる。またナルコユリの茎は断面が丸く、アマドコロの茎は角張った感じがする

薬用には地下茎が用いられる。地下茎には名前の由来になった糖分（ブドウ糖、果糖）や粘液質などの成分が含まれている。根茎を乾燥させたものが生薬名イズイ（萎蕤）・ギョクチク(玉竹）で滋養強壮や病後の体力回復に効果があるとされる。常用すると血色がよくなり、老化防止、顔のシミに効果があるとされている。
煎じ汁や生をすりおろしたものを打撲傷に貼るなどとして良い。

山野草として、茎や葉を茹でてミソ和えや御浸しにして食べると品のよい甘さが楽しめる。

漢方処方例
　・玉竹麦門冬湯（ぎょくちくばくもんとうとう）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）　　　
　　・野草の名前　春　高橋勝雄　　（山と渓谷社）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男　（主婦の友社）

（コメント）
従来のエングラーの分類ではナルコユリはユリ科 Liliaceaeアマドコロ属　Polygonatum であったがＡＰＧ�景�類ではユリ科よりキジカクシ科Asparagaceaに移り アマドコロ属は ナルコユリ属Polygonatumに名称がかわった。キジカクシとはあまり聞きなれない名だが、代表的なものはアスパラガスが相当する

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