ジャノヒゲ（蛇の髭）

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上・中：京都府立植物園ジャノヒゲの青い実と花
下：大阪薬大薬用植物園　根の膨大部が薬用に

ジャノヒゲ（蛇の髭） Ophiopogon japonicus Ker-Gawler
　　単子葉植物　Monocots
　　　キジカクシ目Asparagales
　　　　キジカクシ科（クサスギカズラ科ともいう）Asparagaceae （←ユリ科 Liliaceae）　
　　　　　　ジャノヒゲ属 Ophiopogon

　別名：リュウノヒゲ（竜の髭）

生薬　　　：バクモントウ（麦門冬）
薬用部位　：塊根　　　
用途　　　：日本薬局方生薬　漢方処方薬　
名前の由来：蛇の髭で、細い葉をそのように見立てたことによる。
　　　　　　蛇には髭がないので、竜のことを言っていると考えられる。

東南アジアが原産で本州各地の山野の日当たりの良い草地や林の縁にはえる常緑の多年草。草丈は１０～２０ｃｍ程。葉は細く濃い緑色。庭園の下草や公園などで、グランドカバーとしてよく植えられる。
初夏に花柄を出し薄紫または白色の小花を多数つけ、花のあとには「濃い青色」の丸い実がなる。
根茎は長い匍匐枝（ストロン）を出し、大きな株にはならない。短い根から多数のヒゲ根を生じる。ひげ根の一部に紡錘状に膨らんだ部分、栄養分が蓄えられる箇所がところどころあり、此の部分が薬用に使用される。

根の紡錘状に肥大した部分をバクモンドウ（麦門冬）と称し、漢方では止渇、強壮、鎮咳、去痰薬とみなされる処方（麦門冬湯など）に用いられる。成分はステロイド配糖体のオフィオポゴニン（ophiopogonin）Ａ～Ｄ、ホモイソフラボノイド、ブドウ糖、果糖、粘液質などを含む。

本種の同属種にオオバジャノヒゲがあるが、本種より葉が大きくて厚い。また、別属（ヤブラン属）に分類され、本種と形態の類似するヤブランは花が上向きに咲き実が紫黒色の点が異なる。
ヤブランの塊根は麦冬門の代用にされるが、ダイヨウバクモントウ（大葉麦門冬）の名で区別している。

成分
　ステロイド配糖体 ophiopogonin（Ａ、Ｂ、Ｃ、Ｄ）oligosaccharide 、
　ホモイソフラボノイド、粘液質、ボルネオール誘導体　など
用途
　漢方の要薬で滋養強壮、咳止め、去痰、解熱、利尿、催乳剤として、風邪、喘息、百日咳、
　気管支カタル、声がれ、糖尿病、心臓病、リウマチにも有効。
漢方処方例
　　・麦門冬湯　（ばくもんとう）　　
　　・温経湯　　（うんけいとう）　　　　　
　　・滋陰降火湯（じいんこうかとう）　　　　　
　　・滋陰至宝湯（じいんしほうとう）　　　　　　
　　・炙甘草湯　（しゃかんぞうとう）　　　　
　　・辛夷清肺湯（しいんせいはいとう）　　　
　　・清心蓮子飲（せいしんれんしいん）　　　
　　・清肺湯　　（せいはいとう）　
　　・竹筎温胆湯（ちくじょうんたんとう）

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　　　　（株式会社エヌ・ティ・エス）
（コメント）
従来の分類ではジャノヒゲはユリ科 Liliaceaeジャノヒゲ属 Ophiopogon であったがＡＰＧⅢ分類ではユリ科よりキジカクシ科Asparagaceaになった。キジカクシとはあまり聞きなれない名だが、代表的なものはアスパラガスが相当する。

ジャノヒゲ（蛇の髭）

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