ヤブラン（藪蘭）

商品写真
上・中：柳生の里　ヤブランの花 （蕾）
下･下：　天の香具山の麓　青い実と熟した紫黒色の実

ヤブラン（藪蘭）Liriope muscari　Bailey　
　　単子葉植物　Monocots
　　　キジカクシ目 Asparagales
　　　　　キジカクシ科（クサスギカズラ科ともいう）Asparagaceae（←ユリ科 Liliaceae）　
　　　　　　ヤブラン属 Liriope


生薬名　　：ダイヨウバクモントウ（大葉麦門冬）
利用部位　：塊根　　　
利用　　　：麦門冬の代用に滋養強壮、咳止めなどに
名前の由来：林の中に自生し、葉がランに似るのでヤブラン
　
ヤブランは春から秋にかけて根元から４０〜５０ｃｍの花茎を伸ばす。花茎の中間あたりから上にかけての総状花序に、淡紫色の６弁の小花が数個ずつ固まって咲く。雄しべも６本。花のあと緑色の球形の実ができ、やがて黒くなる。（ジャノヒゲの実は青紫）葉は細長く線形で厚く、光沢があり東洋ランのように見えることからランの名がついている。
日向でも、日陰でも、乾燥した所でも、いずれでも場所を問わず良く育つ。都会のビルの緑地に便利な植物として、芝生などと共に、植えられているのを良く目にする。
あまりにも身近にあるので、根が薬用に利用できるとは、あまり認識しないが、都市の緑化にも役立つ植物として重宝される。

奈良・平安時代にはヤマスゲ（山菅）の名で呼ばれ万葉集にも山菅を詠んだ歌が登場する。和名抄にも「麦門冬　和名　夜末須気」の名が見られる。麦門冬は２種あり、葉が大きいことから大葉麦門冬、和名　ヤブラン。それに対し葉が小さく短いのが、小葉麦門冬、ジャノヒゲ。漢方、生薬で単に麦門冬といえば、小葉麦門冬のジャノヒゲの根の紡錘状の膨大部をいう。

同じ麦門冬の名が付き、薬用として麦門冬の代用にされるが、属する属も異なりこちらはヤブラン属。花の形も実も異なる。

地下の紡錘状に膨らんだ部分を麦門冬の代用にする。鎮痛、解熱、滋養、強壮、鎮咳、去痰など用いる目的も麦門冬に同じ。韓国産、台湾産の麦門冬はヤブラン属を基原植物にしている。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・万葉の植物　松田修著（保育社）
　　・山渓名前図鑑　野草の名前　秋　冬　高橋勝雄著　（山と渓谷社）

（コメント）
従来の分類ではヤブランはユリ科 Liliaceaeヤブラン属 Liriope であったが、ＡＰＧ�景�類ではユリ科よりキジカクシ科Asparagaceaになった。キジカクシとはあまり聞きなれない名だが、代表的なものはアスパラガスが相当する。



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