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クサスギカズラ（草杉葛）

商品写真
上･下：武田薬品　京都薬用植物園　上はクサスギカズラの花蕾

クサスギカズラ（草杉葛）Asparagus cochinchinensis (Lour.) Merr.
　　単子葉植物　Monocots
　　　キジカクシ目Asparagales
　　　　キジカクシ科（クサスギカズラ科ともいう）Asparagaceae（←ユリ科 Liliaceae）　
　　　　　　クサスギカズラ属 Asparagus

生薬名　　：テンモンドウ（天門冬）　　
利用部位　：根（根のコルク化した外層を取り除き蒸して用いる）
利用　　　：日本薬局方生薬、漢方処方薬
名前の由来：葉が杉の葉に似て、蔓状に育つことからクサスギカズラに。
　　　　　　テンモンドウ（天門冬）の名は李時珍によると、門とは俗に草木が茂る事を表し効力
　　　　　　が麦門冬と同じゆえ天門冬になったとのこと。
　　　　　　　
温かい海岸の砂地に自生するつる性の多年草。茎には棘があり葉は仮葉で茎が葉状に変化したもの、近縁種には食用になるアスパラガスがある。アスパラガス属のAsparagusはギリシャ語のスパラッソー「引き裂く」からアスパラゴスに成ったという説があり、アスパラガスの仮葉が細かく裂けている様子を表現している。

クサスギカズラはツルが２ｍほどにも伸びる。茎は柔らかく５〜６月頃、葉腋に淡黄白色の６弁の花を咲かせる。花の後、球形の果実が実り白く熟す。中に黒い種子が１個入っている。
短い根茎に紡錘状に肥大した多数の塊根が付く。薬用にはこの塊根の外層を取り除き蒸して用いる。これが生薬の天門冬になる。
成分はアミノ酸の一種、アスパラギン、アスパラギン酸　その他、糖類（オリゴ糖、果糖、ブドウ糖）、サポニン、デンプン、βシトステロールを含む
漢方では神農本草経の上品に収載され滋養、強壮、緩和、鎮咳、去痰、止渇に用いられる。バクモントウ（麦門冬）と殆ど同じ働きで麦門冬に代用されることある。
根茎を蜂蜜漬けるしたものは咳止めや強壮に、ホワイトリカーにつけて熟成させた天門冬酒は滋養強壮・病後の回復・咳などに用いられる健康酒になる。

漢方処方例
　　鎮咳去痰薬や口の乾きを治す処方に配合される、
　　・滋陰降火湯（じいんこうかとう）
　　・清肺湯　　（せいはいとう）など

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男　（主婦の友社）
　　・原色和漢薬図鑑　下　難波恒雄著　(保育社)　
　　・日本薬草全書　水野瑞夫監修新　（日本法規）
　　・植物分類表　大場英章　編著　（アボック社）

（コメント）
分子系統学による新たな植物分類方のＡＰＧ�景�類体系でキジカクシ科は従来のクロンキスト体系分類のユリ科から分割され新たに独立した科になった。
キジカクシとは面白い名だが、葉が生い茂るとキジが隠れるほどになるとことからの名。

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