ギョウジャニンニク（行者忍辱）

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上・下：東京薬科大学　薬用植物園

ギョウジャニンニク（行者忍辱）Allium victorialis Linne　subsp. platyphyllum　Makino　
　　単子葉植物　Monocots
　　　キジカクシ目（クサスギカズラ目）Asparagales
　　　　　ヒガンバナ科Amaryllidaceae（←ユリ科 Liliaceae）　ネギ属Allium

生薬名　　：カクソウ（茖葱）
利用部分　：全草
利用　　　：食用、薬用
名前の由来：山岳信仰の行者がこれを食べて体力・精力をつけて荒行、修行したことからの名。

奈良県以北の深山、北海道、東北、千島列島、カラフト、シベリアなどの北地に分布する多年草。
北海道ではアイヌネギとも呼ばれている。
葉は平たく、ササの葉状の長楕円形で長さ２０～３０ｃｍ位、葉の真ん中から長い花茎を１本伸ばし、花茎の先端に先がとがった蕾をつける。花は白、または薄紫の花で固まって球状に咲く。

根はネギのようなリン茎があり、網の目状のうす皮で包まれている。

春、若芽の頃の外形はスズランやバイケイソウ類にそっくり、スズランヤバイケイソウは有毒なので山菜取りで取り違えないよう注意しなくてはいけない。強いニンニク臭があり、葉をちぎるだけでも強く匂うので判別できると思うが・・・。

葉も茎もリン茎も全草が山菜として食べられる。若葉やリン茎は味噌漬けや醤油漬け、天ぷらに酢味噌和えにしても美味しい。多食、生食は強いニンニク臭が残る。

タマネギ同様、血液をサラサラにして動脈硬化の予防・脳梗塞の予防・血小板凝固障害の予防やインフルエンザなどの炎症防止にも効果的。また滋養強壮にも有効。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・野草の名前　春　高橋勝雄著　（山と渓谷社）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男　（主婦の友社）
　　・美味しい　山菜ハンドブック　　おくやま　ひさし（文一総合出版）

（コメント）
従来、日本で長く親しまれてきた植物の分類体系は、近年遺伝子DNAに基づく新分類体系､APGⅢ分類が用いられるようなってきている。単子葉植物の科の定義中、最も大きな変革はユリ科の分類の中で行われた。エングラーの分類ではユリ科はユリ、ネギ、アロエ、リュウゼツラン、サルトリイバラ、チシマゼキショウなど広範囲の種が含まれていた。これらは分子系統から単一の系統ではなく多系統であることが分り再編された。
その結果、従来ユリ科　ネギ属のネギの仲間は、APGⅡではネギ科が、新たに新設されネギ科になっていたが、APGⅢでは、キジカクシモ目のヒガンバナ科に含まれるようになり、ヒガンバナ科　ネギ属になった。

ギョウジャニンニク（行者忍辱）

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