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サフラン 

商品写真
上・下:奈良県 馬見丘陵公園 3本の黄色が雄しべ、赤いのが雌しべ(柱頭が3本に分かれている)

サフラン Crocus  sativus  Linne 
  単子葉植物 Monocots
    キジカクシ目(クサスギカズラ目)Asparagales
     アヤメ科 Iridaceae サフラン属 Crocus

古代からのスパイス 
パエリヤ、ブイヤベースなどの料理に、鮮やかな色と風味をつける


生薬名  :サフラン、 バンコウカ(蕃紅花)
利用部位 :雌ずいの柱頭と花柱   
利用   :日本薬局方生薬 婦人薬原料 香辛料 
名前の由来:アラビア語で黄色を意味するの”zafran”(ザアファラーン)から。
      元々はこの花のめしべを乾燥させたものを指していたが、それが花そのものの名前に
      なったと言われているといわれている。
      中国名、バンコウカ(蕃紅花)は外来の紅花の意(紅花と色が似ていることから)

南ヨーロッパ、地中海沿岸原産アヤメ科の多年草(球根)。広く世界中で栽培されている。
園芸品種のクロッカスと同じ仲間。クロッカスは春咲くが、サフランは秋咲く。10月〜11月にかけて松葉のような細い葉の間から花茎を出し、紫色の花を咲かせる。雄しべは黄色で3本。雌しべは鮮赤黄色で1本。柱頭が3つに大きく分かれ長く糸状垂れ下がる。薬用にはこの雌しべを使う。開花当日に雌しべの花柱を採取し風通しの良い所で影干にする。乾燥すると吸湿しないよう瓶に入れ密封し令暗所で保存する。

紀元前からヨーロッパでは極めて貴重で高価な香辛料として又、黄色の染料として利用されてきた(実際100gのサフランを採取するのに約15000個の花が必要とも言われているほど収穫量が少ない。)日本へは江戸時代末、オランダ経由でもたらされた。薬用にするため球根が輸入されるようになったのは明治18年になってから。サフランは日本薬局方にも収載されている薬用植物で冷え性、血色不良の婦人薬の原料に用いられる。

生薬としては単にサフラン、またバンコウカ(番紅花、蕃紅花とも書く)と呼ばれ、鎮静、鎮痛、通経作用がある。
薬用以外にも独特な香味とほろ苦味さ、水に溶けると鮮やかな黄金色となることから食品、化粧品の着色料に使われる。料理には、ブイヤベースやスペインのパエリヤ(米飯料理)、魚、貝、エビなどに、またビスケットやケーキの香味、色付けにも使われる。サフランティーも好まれている。


主要成分
 ・カロノイド色素:クロシン クロセチン
 ・苦味配糖体:ピクロクロシン
 ・精油:サフラナール(ピロクロシンの加水分解によって生じる。従ってサフランが古くなる
     と、苦味が少なくなり、芳香が増してくる。)
 ・脂肪油(パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸など)
主な薬効と用途
鎮静、鎮痛、通経作用があり婦人薬の原料にする。冷え症、血色不良や不眠からくる不定愁訴に用いられる。また民間薬には風邪薬にもする。お茶にすると体を温め、発汗効果がる。但し強い通経作用のため妊婦の使用は禁忌。料理に使うのも妊婦は避けなければならない。薬用以外には食品、化粧品の着色料にする。料理のパエリアは有名。

(参考)
クロッカス(Crocus)Crocus chrysanthus Herb


   クロッカス2
     Photo:京都府立植物園

サフラン属は薬用にされるサフランをのぞいては全て観賞用。
春咲きと秋咲きがあるが主要なものは物は殆どが冬〜春に開花する。ヨーロッパの春の庭園は
クロッカスの花で彩られる。サフランと異なり赤い雌しべが目立たないので区別できる。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・ハーブ大全 リチャーヂ・メイビ著 日本語版監修 難波恒雄  (小学館)
  ・ヤマケイポケットガイド4 ハーブ 亀田龍吉著 (山と渓谷社)
  ・暮らしに役立つハーブ手帖   (武蔵ブックス)
  ・植物分類表 大場英章 編著  (アボック社)・

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