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バニラ

商品写真
上:日本新薬 山科植物資料館 バニラの花
中:京都府立植物園 花と蕾
下:黒くなった莢

バニラ Vanilla planifolia Andrews 
  単子葉植物 Monocots
    キジカクシ目(クサスギカズラ目)Asparagales
     ラン科 Orchidaceae バニラ属 Vanilla

香料 バニラの起原植物

利用部分 :果実、種子
利用   :香料
名前の由来:Vanillaはスペイン語vaina(さや)をVanillaはラテン語で「扁平な葉」の意

バニラはメキシコ東部から南米の熱帯の湿った森林に野生するツル性の気生ラン。その植物の果実(Vanilla bean)に含有されているのが甘い芳香成分バニリン。アイスクリーム、菓子、チョコレート、酒類などの香料として広く用いられているあのバニラの香りはこの植物から得ている。

バニラは地中根から暗緑色の肉質茎を出し、気根で樹枝に着生する。マダガスカル、メキシコ、グアテマラ、ブラジル、パラグアイ、インドネシアなど熱帯の各地はバニリンを採取するため木に這わせて栽培している。葉は互生し肉質で卵状の楕円形をしている。葉腋から花茎を出し多くの蕾をつける。花は淡黄緑色で直径10cm程のラン特有の花、全ての花が結実すると、相当なバニラビーンズが採取できるが、開花している時間は朝の極めて短い持間、受粉を助ける昆虫も少ないので、そのままではなかなか実らない。人工受粉により結実させる。緑色、円筒形の細長い果実が実る。結実して半年後、先端が熟して黒くなりかけた時、収穫する。20cm程の莢の中には砂のように小さい黒い種子が無数に入っている。

このままではバニリンの甘い香りはしない。生果では芳香のない配糖体グルコバニリンだが、発酵させることで、バニラ青莢自体のもつ酵素によって分解され、初めて芳香を放つバニリンが生成される。
発酵法として収穫後20〜30分間湯に浸した後、日中は太陽に当て、夜は毛布に包み密閉した箱で保温する。こうした手間のかかる作業を10日程繰り返し熟成させ、ゆっくりと発酵させる。
2か月程かけて徐々に乾燥させ初めて甘い芳香を放つ香料になる。


成分
 ・芳香成分:バニリン
 ・揮発成分:アニスアルコール、アニスアルデヒド
 ・その他、脂肪、含窒素物、灰分
 
―バニラの乾燥莢ー
     バニラ乾燥

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・植物分類表 大場英章 編著  (アボック社)
  ・食材図典(小学館)

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