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イヌサフラン

商品写真
上：小布施　秋、花のみ咲く。
中：東京薬科大学薬用植物園 イヌサフランの葉
下：サフラン

イヌサフラン　Colchicum　autumnale Linnaeus
　単子葉植物　Monocots
　　ユリ目　Liliales
　　　イヌサフラン科　Colchicaceae（←ユリ科Liliaceae）イヌサフラン属Colchicum

　細胞学上、農芸上、重要な発見の染色体倍加植物ホルモン　コルヒチン基源植物　

生薬名　　：コルヒクム子
利用部位　 ：種子
利用　　　 ：
　　　・植物起源医薬品(Drugs of plant origin) 通風薬コルヒチン(cholchicine)の原料　　
　　　　　　　　　　コルヒチンの適応は「痛風発作の寛解及び予防」
　　　・農芸用コルヒチン（染色体倍加植物ホルモン）製造原料
名前の由来：花が料理に使われるサフランにやや似ているが、サフランには劣るとの意味から
　　　　　　イヌサフランの名がつく。

ヨーロッパや北アフリカが原産の球根植物。
サフランの名がつけられているので、錯覚を起こすが。サフランとは違い有毒なアルカロイドを含むので食材に用いてはいけない。(中毒を起こすので要注意。）

花期は秋９〜１０月。５ｃｍほどの花茎を伸ばし、サフラン（Crocus sativus L.）に似た花が咲く。筒部の長い花は長さ１０ｃｍ程、ピンク色が普通だが白色もある。このとき葉は出ず花茎だけを伸ばす。
サフランはアヤメ科クロッカス属で、全く異なる植物。サフランは線状の葉なので違いが良く判る。サフランとイヌサフランは球根も花も非常によく似ているが、イヌサフランの雄しべは６本、普通の大きさであることや、（サフランは３本で大きく垂れ下がっている）葉の違いから区別できる。

山菜のギョウジャニンニクやギボウシの芽生えの頃の葉の様子と似ているので、間違う事例が報告されている。誤食すると中毒を起こす。厚生労働省は間違いやすい植物例として注意を呼びかけている。

春先、オモトに似た葉がでると同時に果柄が伸び２〜３のさく果を出す、５〜６月頃熟し多数の種子ができる。この種子には染色体倍加剤になるアルカロイドのコルヒチンが含まれる。春先に現れる葉は夏枯れる。

コルヒチンは有毒だが適量使用することで、通風の薬コルヒチンになる。但し通風以外の鎮痛・消炎作用はほとんど認められていない。又通風の痛みも、いつ使っても効果があるのではなく発作の前兆が感じられると、早期服用するのが適切で、厚生労働省認可の適応は「痛風発作の緩解および予防」。
痛風発作の発現後、服用開始が早いほど効果的で、予防投与では、発作が予感されるかなりの初期でないと、効き目が少ないのが特徴。長期にわたる（予防投与も含めて）服用は副作用発現の可能性が高くなるので、医師（できれば専門医）に受診しながらの服用が重要となる。

コルヒチンは細胞が分裂する時に紡錘糸形成の障害を起こし、染色体が両極に分かれず染色体の倍加（染色体異常）を誘発する作用がある。１９３７年 Blakesleeによって明らかにされたコルヒチンの作用は、細胞学上の記念すべき大発見であった。これを利用して種なしスイカ、あるいはその他の育種のための四倍体や倍化半数体の作出にも用いられるなど、イヌサフランは農作物の品種改良に貢献することになるなど貴重な薬品の基となった。

成分　
　　アルカロイド：コルヒチン(種子には０．２〜０．６％、球茎にも０．０３〜0.２％ふくむ。)

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）　　　
　　・製薬会社インタビューフォーム　
　　・植物分類表　大場英章　編著　　（アボック社）

（コメント）
従来、日本で長く親しまれてきた植物の分類体系は、近年遺伝子DNAに基づく新分類体系､APG�景�類が用いられるようなってきている。
その結果従来、イヌサフランは　ユリ科　イヌサフラン属とされていたが、イヌサフラン科が新たに新設されので、ユリ科からイヌサフラン科に移った。イヌサフラン属は従来どうり。




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