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カタクリ(片栗)

商品写真
上・下:白馬 蓮華温泉天狗の庭  緑色の葉にまだら模様が特徴的

カタクリ(片栗)Erythronium japonicum Decaisne 
  単子葉植物 Monocots
   ユリ目 Liliales
     ユリ科 Liliaceae カタクリ属 Erythronium

 春の妖精 カタクリ

利用部分 :鱗茎(球根)
利用   :植物起源(Drugs of plant origin)   カタクリデンプン粉の原植物
名前の由来:鱗片状の地下茎が、クリの子葉の一片のようだとして名づけられた

本邦の山野、特に東北部に自生する宿根草。春まだ浅い早春、木々の葉もまだ芽吹かず、冬枯れの山野にいち早く花茎を伸ばし、花を咲かせるカタクリ。かつてはこの鱗茎から良質で滋養に富むデンプンを得ていた。正真正銘の片栗粉である。しかし今日では雑木林の開発などで、林床を彩ったカタクリはすっかり見られなくなり、特別保護されている地域でのみしか見かけなくなった。
貴重で入手困難なことから、近年はジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が片栗粉として用いられている。


カタクリの一生は、1枚葉の時期を経た後、2枚葉の個体となり7〜8年かけてやっと開花する。落葉樹が芽吹く前の3月中旬まだら模様のある楕円形の葉を2枚を出し、4〜5月頃可憐な紅紫色の6弁の花1個を開花する。若葉が茂り林床に十分日光が射さなくなる5月になると地上部が枯れだし、翌年の春までの休眠に入る。早春のほんの短い間みられる貴重な花だ。スプリング・エフェメラル(春の妖精)と言われる所以だ。種子はアリによって運ばれ分布をひろげてゆく。

”もののふの 八十(やそ)娘子(をとめ)らが 汲み乱(まが)ふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花”
                    (万葉集 19巻 4143)

とあるように昔はごく身近な存在だったのだろう。(堅香子の花は現在のカタクリ)

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・野草の名前 春 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男 (主婦の友社)
  ・万葉の花 松田修著 (保育社)
  ・植物分類表 大場英章 編著  (アボック社)

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