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アミガサユリ( 編笠百合)

商品写真
Photo:皇居東御苑

アミガサユリ( 編笠百合)Fritillaria verticillata  Willdenow var. thunbergii Baker
  単子葉植物 Monocots
   ユリ目 Liliales
     ユリ科 Liliaceae バイモ属 Fritillaria

高山植物クロユリ(黒百合)と同じ属

生薬名  :バイモ(貝母)
利用部分 :鱗茎 
利用   :日本薬局生薬、漢方処方用薬
名前の由来:花弁の内側に褐色の網の目状の模様があり、うつむき加減に咲く花の様子が人の
      かぶる編笠に似ている事から。
      生薬名、バイモ(貝母)は大小2片の鱗茎(球根)が内と外に重なり合い貝殻を
      あわせたような形から名が生まれた

中国原産の多年草球根で、享保年間に清国の商人が幕府に献上したのが我が国に渡来した最初といわれている。
春3月、茎がどんどん伸び40〜60cmの草丈になる。葉は細長く上部の葉は先端が巻きひげ状になり他に巻きついて生長する。3月下旬、葉の先端に数個の淡い黄緑色の花を咲かせる。中国原産でありながら、渋みのある雅趣に富む花は早春の茶花に好まれる。花はユリに似ているが、ユリ属ではなく、バイモ属。白山や立山などの高山に咲くクロユリ(黒百合)が同じ仲間。
クロユリはアイヌの伝説や富山城主、佐々成政などにまつわる数々の逸話がある高山植物で、人々の関心が極めて高い花だ。

アミガサユリの鱗茎を採り外皮を剥いで乾燥したものがバイモ(貝母)で、鎮咳や去痰の目的で、現在は奈良県や鳥取県で薬用として栽培される。球根は肉厚になった鱗片状の葉が集まった物で、ユリも同様だが、バイモは2枚の鱗片のみが発達したもの。花が終わった5〜6月ごろ地上部が黄変し枯れる頃掘り上げ、石灰をまぶし乾燥させる。鱗茎の収量のためには、花は咲かせず蕾の頃に撤花する。奈良県産は大和貝母と称される。
奈良県 賀名生の梅林にも沢山植えられている。梅林鑑賞の丁度その頃、梅の木の下に、雅趣に富むアミガサユリが咲いている。


成分
   ステロイドアルカロイド:ペイミン(=ベルチシン)、ベルチシノン フリチリン、
               フリチラリンなど
用途
  漢方処方用薬として鎮咳、去痰、消炎を目的とした処方に配合される。
  その他、止血、催乳、解熱薬などに、感冒、喉の諸症状、リンパ腺炎、各種腫瘍にも用いる。
処方例
  ・清肺湯     (せいはいとう)  
  ・滋陰至宝湯   (じいんしほうとう)  など 
  ・当帰貝母苦参丸料(とうきばいもくじんがんりょう)         など

アミガサユリと同属のクロユリ(黒百合)
クロユリ(黒百合)Fritillaria camtschatcensis ユリ科 Liliaceae バイモ属 Fritillaria

高山植物

名前の由来:ユリのような黒っぽい花が咲くすがたからクロユリ

亜高山から高山にかけての草地にさく多年草の高山植物。立山の高山に咲く花として、越中富山の城主、佐々成政が北政所に献じた花。曰くつきの伝説が、伝わる怪しい魅惑のある花としても知られる。草丈20cm程、本州の高山性の花つきは1〜2個で染色体は2倍体、ミヤマクロユリとも呼ばれる。北海道に咲くクロユリの染色体は3倍体で草丈も50cm程、花つきも3〜7個と多く、全体的に大型でエゾクロユリといわれる。かって北海道では鱗茎を乾かして不時の備えの食料としたりした。

   クロユリ
Photo:乗鞍 畳平
花は黒味のある濃紫褐色、うつむき加減に咲く。バイモと同じように花の内側は、黄色い斑点状の模様がある。

   クロユリ乗鞍>
 白い花はハクサンイチゲ、黄色い花はミヤマキンバイ

   クロユリ1
乗鞍 畳平の霧がかかる草原に咲くクロユリ、いろいろの高山植物が混生している。


参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)   
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・野草の名前 高橋勝雄  (山と渓谷社)
  ・植物分類表 大場英章 編著  (アボック社)

科目別の一覧