名前から探す ア行 カ行 サ行 タ行 ナ行 ハ行 マ行 ヤ行 ラ行 ワ行    
用途から探す 漢方薬 製薬基源植物 日本薬局方生薬 民間薬・薬用 ﾊｰﾌﾞ･ｻﾌﾟﾘﾒﾝﾄ 香料・香辛料 食用と嗜好品 染色・繊維 油脂 鑑賞用・その他    

ビンロウ（檳榔）

商品写真
上・中：京都府立植物園
下・下： 日本新薬　山科植物資料館　ビンロウの花と前年の果実

ビンロウ（檳榔）Areca catechu　Linne
　　単子葉植物　Monocots ＞ツユクサ群 Commelinids
　　　ヤシ目 Arecales　
　　　　　ヤシ科 Arecaceae　(Palmae) 　 ビンロウジュ属 Areca

生薬名　　：ビンロウジ（檳榔子）
利用部分　：�＼�熟種子　�¬そ浪娘�
利用　　　：�ヾ訴�薬　日本薬局方生薬　��嗜好品
名前の由来：檳のつくりの賓はもてなす客のこと。郎は男子の美称で檳榔子は賓客をもてなす際に
　　　　　　用いた風習による。

マレー原産と推測される。熱帯アジアに広く分布栽培される常緑の高木で、幹は直立し、樹高１５〜３０ｍに達する。
ココヤシに似て葉は幹の先端に叢生して広がる。羽状複葉で長さ１〜２ｍ。幹の上方は鮮やかな黄緑色で棒状、節が見られない。下方の幹は褐色で節が目立ち、旧葉が着床していた跡が残っている。ココヤシの幹は太くて曲がるが、ビンロウは細いが真っ直ぐに伸びる。観賞用にも好まれる。

花は雌雄異花で総状花序。花序の分岐の基部に雌花が、先のほうに雄花が着く。１房に多くの果実がなる。果実は卵形でオレンジ色に熟す。果肉のなかに１ケの種子が入っている。切断すると灰褐色の種皮が白い胚乳中に入り込み大理石のような模様になっている。
サナダムシの駆除、収斂剤、解熱剤、口腔清涼剤などの薬用になる。
ビンロウの果実を日本では薬用や染料にするため天平勝宝時代（７５６年）輸入した記録が残っている。

東南アジア、ミクロネシアやフィジー諸島ではビンロウジを嗜好品として噛む風習がある。
石灰やチョウジ、カルダモンなどの香辛料とともにキンマ（コシュ科）の葉に包みかじると麻酔的な効果により爽快な気分になるという。ベテル･チューイングという。ビンロウの実が石灰で赤く発色するため、口や歯、唾液が真っ赤になる。近年は口中の発ガンが問題視されこうした嗜好も見直される傾向にある。

成分
　・アルカロイド：アレコリン　アレカイジン、グバコリン、グバシン
　・ステロイド：ジオスゲニン、クリプトゲニン、βシトステロール
　・その他ミリスチン酸、アレカタンニン類

漢方処方例
　漢方では殺菌、健胃、駆虫などように少数例配合されている。
　　・女神散（にょしんさん）
　　・九味檳榔湯（くみびんろうとう）

キンマ　Piper betle Linne.　
　　コショウ科 Piperaceae　コショウ属　Piper

　　　キンマ
　　　　　　　Photo：京都府立植物園

マレーシャが原産の木本性のつる植物。雌雄異株で古くから栽培されている。葉は厚く、ハート形をしている。
葉をキンマ葉、クシュウヨウ（蒟醬葉）と呼び精油成分0.8〜1.8％を含む。アリルベンゼン化合物でチャヴィコール（Chavicol）　チャヴィベトール（Chavibetol）を主成分とし芳香と辛みがある。ベテル･チューイングでは、このキンマの葉に砕いたビンロウジや石灰、香辛料を包む。キンマは、タイ語のキンマークから。タイ語で キンは噛む、マークはビンロウ(檳榔)。キンマークは いわゆるキンマ噛み betel chewing を言う。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著 （広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・原色和漢薬図鑑　下　難波恒雄著　(保育社)　
　　・漢方　生薬学　木村孟淳著　(不知火書房)
　　・植物分類表　大場英章　編著　（アボック社）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎監修　（柏書房）

科目別の一覧