ショウブ（菖蒲)

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Photo：服部緑地都市緑化植物園ショウブの肉穂花序

ショウブ（菖蒲) Acorus calamus Linne.var.angustatus　Besser .
　単子葉植物　Monocots
　　オモダカ目 Alismatales
　　　　　ショウブ科 Acoraceae　(←サトイモ科 Araceae)　ショウブ属 Acorus

　端午の節句　菖蒲湯のショウブ

生薬名　　：ショウブコン（菖蒲根)
利用部位　：根茎
利用　　　：芳香性健胃薬、浴剤
名前の由来：中国の本草学者　李時珍が本草綱目に「蒲類の草として、昌盛なるものだから菖蒲と
　　　　　　名付けた」とあり、和名は漢名の菖蒲をそのまま音読みしたもの。

池や沼などの水のきれいな水辺や湿地に自生する。葉は幅２ｃｍ程の剣状で長さ１ｍになることもある。中央にはっきりとした中肋が１本ある。初夏、葉と同形の花茎を出し、その中ほどからで円柱状の肉穂花序を伸ばし、淡黄緑の花を密につける。花序の基部に剣状の苞があるがサトイモ科に特有の仏炎苞のように花序を包むことは無い。

一般にショウブというと花の華麗なショウブ（ハナショウブ（花菖蒲)）を思い浮かべるが、こちらはアヤメ科で、古来から日本に野生する「ノハナショウブ」を品種改良したもので様々な色彩豊かな観賞用の美しい花が栽培されている。
（ショウブと区別する意味からもハナショウブ（花菖蒲)と称している。）

本来のショウブは全草に強い芳香があり、５月５日端午の節句の飾りや風呂に入れるショウブ湯として親しまれている。葉が剣状をしていることと、発音が「尚武」「勝負」と同じであることから古くから邪気祓い、魔除けとして男子の節句に使うとされてきた。

根茎を乾燥させたものを菖蒲根といい約３％の精油、主成分　Asarone（アサロン）、Paraasarone（パラアサロン）オイゲノール、メチルオイゲノールを含む。神経の緊張を緩めるアロマテラピー効果と共に血行を良くし、体を温めることから根茎や葉を刻み煮出して入浴剤に用いると神経痛やリウマチに効果がある。

ショウブの名がつく花ショウブ

アヤメ科Iridaceae　アヤメ属 Iris　のショウブ
ハナショウブ（花菖蒲）Iris ensata Thunb　var. ensata

Photo　高島市　しんあさひ風車村　新旭花菖蒲園

ノハナショウブを原種に、日本で改良された純国産の園芸植物。多くの品種が生み出され、品種の保全をかねた栽培地がハナショウブ園として各地に設けられ多くの人々に鑑賞されている。
代表的な品種郡に江戸系、伊勢系、肥後系，長井古種系などが挙げられる。

ノハナショウブ（野花菖蒲） Iris ensata Thunb　var. spontanea　Nakai

ハナショウブの原種

　　　ハナショウブ鯉２

　
Photo：岡山県新見市　鯉ケ窪湿原

比較的、変異性に富むことから、改良により現在の多くのハナショウブが生み出された。
ノハナショウブは、元々日本各地の山野や、水流のある湿地に自生していた。人の手が加わる前の、すっきりした素朴な美しさと雅趣が感じられる。
　　　　　ハナショウブ鯉1

高さ１ｍ前後、花茎が長く伸び、3個の外花被片が大きく発達し内花被片は小さなへら型で直立する。全体にすらりとしてすっきりした花。

参考資料
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・山野草　ハンドブック　伊沢一男　　(主婦の友社)
　　・ヤマケイポケットガイド４　ハーブ　亀田龍吉著　（山と渓谷社）

（コメント）
近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
従来、日本で長く親しまれてきた植物の分類体系は、遺伝子DNAに基づく新分類体系､APGⅢ分類が用いられるようなってきている。
その結果従来　サトイモ科とされていたショウブやセキショウははショウブ科として独立した科が設けられ移行した。

ショウブ（菖蒲)

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