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サジオモダカ(匙面高)

商品写真
上・中:東京 小石川植物園 白色の3花弁の花
下・下:サジオモダカの花

サジオモダカ(匙面高)Alisma orientale Juzepczuk
  単子葉植物 Monocots
   オモダカ目 Alismatales
     オモダカ科 Alismataceae サジオモダカ属 Alisma

利水剤として漢方処方に繁用。

生薬名  :タクシャ(沢瀉)
利用部位 :塊茎で通例、周皮を除いたもの
利用   :日本薬局方生薬、 漢方処方用薬
名前の由来:葉の形状が匙(スプーン)に似ているオモダカの意味。
      人の顔のようにも見える葉が、高く柄の上につくことからオモダカ「面高」に。
      タクシャ(沢瀉)は沢に瀉(注ぐ)ところの意味。そこから水溜りや湿地に生える
      草に転じた。

東アジア北部に自生し河川や池、水田、湖沼などの冷涼な気候を好み湿地に生育する多年生。
図案化した家紋や紋所の使われている矢じり型のオモダカの葉と異なり、葉は長楕円形の玉子型匙状(スプーン)をしているのでサジオモダカの名がある。オモダカの漢字表記に「沢瀉」の字が用いられて紛らわしいが、薬用に用いる「沢瀉」はサジオモダカの塊茎を用いる。オモダカはむしろ食用になる「クワイ」に近い植物。

サジオモダカの草丈は50〜100cm位。夏から初秋にかけ、葉の基部から生じる花茎に輪生状の総状に多数の白色の小さな花を咲かせる。地下茎は塊茎状に肥大し、細根を多数生じる。冬期に掘り出し数度に分け加熱、乾燥。細根や周皮を取り除いたものが生薬のタクシャ(沢瀉)。茯苓と並ぶ”水”に対する重要な漢方の要薬となっている。「澤水の傾瀉」、「水を注ぎだす」の効果があることが沢瀉の名の由来と言われている。

体内に停滞する過剰で不良な水を排出、調整することで、漢方の理論「気・血・水」の水の停滞、水毒を改善することで水に起因する種々の障害を改善する。排尿障害(頻尿、乏尿)、胃内停水、胃アトニー、口渇、下痢、腎炎、水腫、めまいなど幅広く用いられる

成分
 多量のでんぷんを含む
  ・トリテルペン:アリソールA、B、C
  ・セスキテルペン:アリスモール
  ・その他、アミノ酸、カリウム塩、ビタミン類、レシチン、コリン、糖類など

主な効能と応用
 利尿、止渇で漢方処方用薬として利尿薬、尿路疾患用薬、鎮暈薬(めまいを鎮める)とみなされ
 る処方およびその他の処方に応用される重要な漢方の要薬。

主な漢方処方例
  ・五苓散    (ごれいさん) 
  ・茵蔯五苓散  (いんちんごれいさん)
  ・胃苓湯    (いれいとう)
  ・柴苓湯    (さいれいとう) 
  ・猪苓湯    (ちょれいとう)
  ・半夏白朮天麻湯 (はんげびゃくじゅつてんまとう)
  ・当帰芍薬散  (とうきしゃくやくさん)
  ・牛車腎気丸  (ごしゃじんきがん) 
  ・八味地黄丸  (はちみじおうがん)  
                         など
参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・原色和漢薬図鑑 下 難波恒雄著(保育社) 
  ・漢方 生薬学 木村孟淳 不知火書房
  ・植物分類表 大場英章 編著  (アボック社)

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