ハブソウ（波布草）

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上・中・下：京都薬科大学　御陵園　ハブソウの花
下：　花と太い莢

ハブソウ（波布草）Senna occidentalis(L.) Link（←Cassia　occidentalis　Linne）
真正双子葉植物　Eudicots＞中核真正双子葉植物　Core Eudicots＞バラ類　Rosids
　　　＞マメ群　Fabids
　　マメ目 Fabales
　　　　マメ科 Fabaceae（Leguminosae） センナ属 Senna (←カワラケツメイ属 Cassia )

別名：クサセンナ

生薬名　　：ボウコウナン（望江南）
利用部分　：種子
利用　　　：民間薬
名前の由来：毒虫や毒蛇、とくにハブに咬まれたときの生の葉をもんでつけると良い民間薬として
　　　　　　導入されたために、この名前がある。実際にはそれ程の効果はないが。

北米南部、メキシコ原産の１年草。日本には江戸時代に毒虫や毒蛇、とくにハブに咬まれたときの民間薬として導入されたために、この名前がある。現在、南西諸島や小笠原諸島では、帰化植物となっている。

花や全体の形が同じマメ科のエビスグサとそっくりで、薬用としての使われ方も同じだが、果実の平たい鞘（さや）は、エビスグサより太く短く、長さ約１０ｃｍ程。鞘の中には、扁平卵形の種子が2列に並んで入っている。この種子をボウコウナン（望江南）といい緩下、利尿、健胃、整腸薬に使われる。比較的新しい渡来種のため、漢方薬に配剤されることはない。
この種子を炒ったものが本来の、「ハブ茶」だが、市販されているものは、同属で別種のエビスグサの種子、漢方名決明子（けつめいし）を用いる。

主な成分
　　・アントラキノン類：エモジン、クリソファノール、フィスチオン、オブツシン
　　・ナフトピロン類：ルブロフサリン
　　・タンニン、
　　・脂肪油：オレイン酸、リノレン酸、パルミチン酸、リグノセリン酸
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　など
名前の類似　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
ハブソウとエビスグサ（ハブ茶）の比較・相違点
エビスグサ（夷草　恵比須草）Senna obtusifolia(L.) H.S.Irwin et Barneby
　　　　　エビスグサア花実

　　　　　　Photo：日本新薬　山科植物資料館　エビスグサ（ハブチャ）の花と莢

葉の様子
　　・ハブソウ　　　　　　：羽状複葉の小葉の先端は尖る
　　・エビスグサ（ハブ茶）：羽状複葉の小葉の先端は丸まっている。
花の咲き方
　　・ハブソウ　　　　　　：上向きに咲く
　　・エビスグサ（ハブ茶）：うつむき加減
実る莢
　　・ハブソウ　　　　　　：上向きで、太く短い莢が上向きにつく
　　・エビスグサ（ハブ茶）：細く長い莢が弓なりに湾曲し下を向く。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・原色和漢薬図鑑　難波恒雄　著　（保育社）
　　・日本薬草全書　（新日本法規）

（コメント）
これ迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果、従来ハブソウはカワラケツメイ属に属していたがセンナ属が創設されたため、センナの仲間のエビスグサ、ハブソウなどはセンナ属にまとめられた。

ハブソウ（波布草）

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