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クララ (眩草)

商品写真
上・下:武田薬品 京都薬用植物園 クララの花 
下:花の後のクララの豆果

クララ (眩草)Sophora  flavescens Aiton
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
   マメ目 Fabales
     マメ科 Fabaceae(Leguminosae) クララ属 Sophora

生薬名  :クジン(苦参)
利用部位 :根
利用   :日本薬局方生薬 漢方処方用薬
名前の由来:服用した際、軽度の中毒症状として”めまい”をおこすクララグサ(眩草)より出た名
      クジン(苦参)は根に苦味があり、根が薬用の人参に似ているので苦参の名に。

シベリア、中国、朝鮮半島、日本に分布し本邦各地の山野に自生している多年草。
草丈60〜150cmの高さになる。葉はマメ科特有の羽状複葉。初夏に茎の先端に淡い黄緑色の長さ15〜18mm程の蝶形の花を穂状につける。
クサフジの花の様子に似ているがクサフジは紫色で草丈も低い。花の後、豆果がみのる。 幾つかのくびれのある円柱形で、先端は長く延び尖っている。根は木質化し直径2〜3cmになる。

花期から結実期(7〜9月)に採根し水洗後、天日乾燥させる。支根を取り除きその周囲の皮を取り除いたものが生薬のクジン(苦参)になる。皮のついた物も汎用される。

クララというおよそ日本的でない外来種という感じの名は、誤って食べると目がクラクラする事から呼ばれたもので、西行法師の歌にも”荒れにける 沢田の畦に 苦参生ひて 秋待つべくも なきわたり哉”とあるように古くから知られた在来種である。

有毒成分、アルカロイドのマトリン、オキシマトリンを含んでいる。
クララは昆虫に対しても有毒で、茎葉を刻んでうじを殺したり、クララの茎葉やクジン(苦参)の煎じ汁で家畜を洗い寄生虫を退治したり、植物につく害虫の殺虫剤にしたりする。
しかし不思議なことに”オオルリシジミ”という蝶だけはクララを食草としている。クララが花穂を出すと、そこに産卵し幼虫は花を食べながら成長し蛹になる。
阿蘇の草原はオオルリシジミの集団生息地で知られている。野焼きや放牧により草原が維持され、家畜が食べないため餌のクララが沢山生えているからといわれている。
しかし、クララの自生地は減少しており、それを食草とするオオルリシジミも減少し絶滅危惧種に指定されているのは残念なことだ。
クジン(苦参)に含まれるアルカロイド、フラボノイド、サポニンは細菌や真菌の増殖を抑制し、アルカロイドマトリンは滲出性炎症を改善し下痢を止める作用が知られている。
漢方処方用薬で、皮膚疾患用薬とみなされる処方、及びその他に少量配合されている。しかし民間薬としては毒性が強いため使用はされない。

成分
  ・アルカロイド:マトリン、オキシマトリン、ソホラノール、アナギリンなど
  ・フラボノイド:クラリノール、クラリノン、クラリジノールなど

漢方処方として
  皮膚疾患用薬とみなされる処方、その他の処方に少数例配合されている。
   ・消風散  (しょうふうさん) 
   ・苦参湯  (くじんとう)
   ・三物黄芩湯(さんもつおうごんとう)     など

花の形態 類似
クサフジ (草藤)Vic cracca Linne
   クサフジ
  Photo:奈良 王寺町 クサフジ の花
長さ1cmほどの青紫色の蝶形花が総状花序にやや一方に偏って密につく。
日当たりの良い草地や林縁に生える。
    
参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書(広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著(株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・山野草ハンドブック 伊沢一男(主婦の友社) 
  ・薬になる花 田中孝治 (朝日新聞社)
  ・原色和漢薬図鑑 難波恒雄著 (保育社)


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