クズ（葛）

商品写真
上・中：生駒山　クズの花とさや果
下：生駒山　繁茂し 樹木を覆いつくすグズ　

クズ（葛） Pueraria lobata （Willd.) Ohwi
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　　マメ目 Fabales
　　　　　マメ科 Fabaceae（Leguminosae） クズ属 Pueraria

葛根湯でお馴染の葛根

生薬名　　：カッコン（葛根）
利用部位　：�〆�（葛根）　��茎　�２屐奮覯屐�
利用　　　：�‘�本薬局方生薬　漢方処方用薬、クズデンプン原料　伝統・伝承薬原料 �∩＾檗�
　　　　　　�Ｌ唄嵬�
名前の由来：大和国に国栖（くず）というクズの産地があり、ここで産出したでん粉を販売した
　　　　　　ことから「国栖粉」となり植物名もクズと称するようになったという説。

日本全土のいたる所、野や山、伐採跡地や放棄畑、道路端、土手などで繁茂している蔓植物。
全体に毛が密生している。葉は大きく３出複葉で互生し、小葉は浅く２〜３裂する。
大きい葉の陰に隠れて花は目立たないが、赤紫色の蝶形の花を密に咲かせ、良い香りがする。花期は８月下旬〜９月。
マメ科の植物なので、痩せ地でも生育でき大群落を形成する。クズは秋の七草の１つに数えられる。一般に秋の七草は可憐でおとなしい花が多いが、クズは例外。その旺盛な生命力は、たくましい力強さが感じられる。
牛馬を飼育していた時代は、刈り取って持ち帰り飼料に、蔓は薪の結束に用いられたりもした。茎の繊維からは葛布も織られ、根からは葛粉の採取など、幅広く利用された。しかし現代では、そういう利用方法も少なくなり、牛馬の飼料としても省みられなくなった。
今日ではあまりの生育の良さから邪魔者の雑草扱いになっているのは極めて残念なことだ。

アメリカでは、日本のクズをダム建設所や水力発電所の堰堤の土砂崩れの防禦に役立てたとのこと。しかしあまりの旺盛な繁殖力は森林の樹木に絡みつき、覆い尽くすマント形成につながり、樹木の生育をさまたげる有害植物とみなされ問題視されている。実際夏の日、風にそよぐクズの大群落は圧倒されるほど力強く壮観。

路傍の雑草扱いのクズだが、クズの根を生薬ではカッコン（葛根）といい、漢方薬の代名詞のような葛根湯の主薬に用いる。
根から取れるデンプンをクズデンプンといい、滋養剤にするほか結合や崩壊が良いという特徴から良質の錠剤の賦形剤にする。有効成分はダイジン、ダイゼイン、プエラリンなどマメ科植物に多いイソフラボン化合物、あるいはその配糖体。

風邪薬、解熱鎮痛消炎剤とみなされる処方その他に配合されている。葛根の配合される漢方処方は漢方薬の代名詞、葛根湯に、そのほかは蓄膿、鼻炎の薬にする葛根湯加辛夷川芎、桂枝湯証で下痢のあるものに使う葛根黄連黄芩湯、このほか升麻葛根湯、独活葛根湯、葛根紅花湯などがあげられる。花は二日酔いの予防、治療になる。

成分
クズに特有のイソフラボン配糖体プエラリン（Puerarin）、ダイズィン(Daidzin）化合物
ダイゼイン(Daidzein)には鎮痙作用が知られるほか、弱い卵胞ホルモン作用がある。ダイゼインはダイズ（大豆）にも多く含まれ、骨粗鬆症の予防に効果があるとされ、大豆を原料とする豆腐や納豆は機能食品として欧米で近年人気を集めている。
用途
　　漢方薬、お菓子、食品の原料に
　　漢方処方例
　　　風邪薬、解熱鎮痛消炎薬とみなされる漢方処方、その他の漢方処方に少数例配合される。
　　　・葛根湯　　　　　（かっこんとう）
　　　・葛根湯加川芎辛夷（かっこんとうかせんきゅうしんい）
　　　・桂枝加葛根湯　　（けいしかかっこんとう）
　　　・升麻葛根湯　　　（しょうまかっこんとう）
　　　・独活葛根湯　　　（どっかつかっこんとう）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　など
参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第15改正　日本薬局方解説書　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・原色和漢薬図鑑　難波恒雄　著　（保育社）
　　・日本薬草全書　（新日本法規）
　　・山野草ハンドブック　伊沢一男監修　（主婦の友社）
　　・野草の名前　夏　高橋勝雄　（山と渓谷社）
　　・日本薬草全書　（新日本法規）
　　・美味しい山菜　おくやまひさし著　（文一総合出版）
　　・万葉の植物　松田修著（保育社）





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