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メリロット

商品写真
上・下： 武田薬品　京都薬用植物園

メリロット Melilotus officinalis Lamarck
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞マメ群Fabids
　　マメ目 Fabales
　　　　　マメ科 Fabaceae （Leguminosae） シナガワハギ属 Melilotus

　和名：セイヨウエビラハギ（西洋箙萩）　
　英名：イエロースイートクローバyellow sweet clover

　経口抗凝固剤　ワルファリン製薬起原植物　
　痔疾患治療薬メリロートエキスの主成分

生薬名　　：メリロート草
利用部分　：�〕奸＿屐´�花穂（乾燥）
利用　　　：�〔�用　�⇔鼠�
名前の由来：属名の中の「meli」は蜜を表す名。ミツバチがこの花の蜜を好むことから
　　　　　　「蜜のクローバ」の意味の属名になった。

ヨーロッパ、アジア、北アメリカに自生するマメ科の多年草。
マメ科の植物である事から痩せた土地でも良く育ち、丈夫な性質でもって繁茂し群生する。豊富な収量が見こめることから家畜の飼料として、又やせた土地を肥やす目的で植えられたりする。
全草をメリロート草Melilotusといいクマリン、クマール酸、メリロート酸、精油等を含み良い香りがする。つぶした生葉には抗炎症作用があり、リウマチ、気管支カタルなどに昔は湿布に用いたこともあったが、現在があまり使わない。乾燥させた花穂は料理やビールの香り付けに。乾燥した葉を用いたハーブティは消化促進や頭痛止めに効果がある。完全に乾燥させなければ、有害物質が発生するので要注意。

この有害物質の発生が、脳梗塞、心筋梗塞の原因になる血栓を造くらせなくする、血液をサラサラにする抗凝固薬「ワルファリン」の開発につながるヒントになった

発端は１９２０年カナダや北部アメリカで発生した「スィートクローバー病」。スィートクローバーは、メリロットの英名で、家畜の飼料にされていた。この飼料を食べた牛が次々と出血しやがて死んでしまうという奇病に襲われた。この原因は後に「腐敗したスイートクローバーを食べたことによるもの」だということが判り、腐敗したスイートクローバーからジクマロールという物質が精製・単離された。

スィートクローバーが腐敗していく過程で、微生物によってスィートクローバーに含まれるクマリン（芳香成分）がジクマロールという二量体に変化する。このジクマロールが血液を凝固させなくなっていた。さらに誘導体として、１９４３年ウィスコンシン大学の生化学者K. P. Link により「ワルファリン」が合成された。
最初の頃は殺鼠剤として使われていたが、やがてMeyer やButt らによって臨床への応用が進められるようになった。治療を目的に、人体に用いられるようになったのは１９５１年にアメリカ心臓協会（AHA）が、心筋梗塞の治療に臨床試験を行ってから。以来欧米において広く臨床検討されたクマリン系抗凝固薬として、血栓塞栓症の治療予防薬に、臨床の場で繁用される医薬品になっている。

又、メリロート草は、ギリシャ時代の昔から薬として常用されてきた伝統あるハーブ。ギリシャに次いで愛用していたのは、マホメット教徒。マホメット教地域では、排膿性と収斂性があることから、腫物やしもやけの治療にメリロート草を用いていた。イギリスでは香料、駆虫剤として内用され、また、罨法、パップ剤として鎮痛の目的で外用していた。
長く伝統ある民間薬として広く使用されていたメリロートエキスの主成分についても研究が行われ、新薬への応用が注目されるようになった。現在はその抗炎症作用、静脈の内圧を取り除きリンパ液の循環改善効果から、痔核(イボ痔)の諸症状、外傷、手術に伴う軟部腫脹を寛解する医薬品にメリロートエキスは、主成分として配合され医療の場に提供されている。

参考文献
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・ハーブ　　亀田龍吉著　（山と渓谷社）
　　・製薬会社　インタビューフォーム
　　・ハーブ大全　リチャード　メルビー著　難波恒雄日本語版監修 (小学館）

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