クリ(栗)/シバグリ(芝栗)

商品写真
上-中・下:大阪市立長居植物園 青いイガのクリ
中・下:クリの花、基部が雌花、先が雄花

クリ(栗)/シバグリ(芝栗)Castanea crenata  Sieb. et Zucc
真正双子葉植物Eudicots>中核真正双子葉植物Core Eudicots>バラ類Rosids>マメ群Fabids
  ブナ目Fagales
     ブナ科 Fagales クリ属 Castanea

利用部位 :①果実 ②樹皮、葉 ③材
利用   :①食用 ②薬用 染色 ③建築用材、器具材、シイタケのホダ木
名前の由来:黒い実、クロミ(黒実)の意味

クリは日本中いたるところ野生し、山に暮らす動物たちにとって格好の食糧になっている。
成長が非常に早く「桃栗三年、柿八年」と言われるぐらい早く実るクリの実は、既に縄文時代から古代人の重要な食物であった。7世紀末、持統天皇の時代にはクリ栽培が奨励されている。

クリのうち山野に自生するものは、栽培品種の原種で小粒のシバグリ(柴栗)、またはヤマグリ(山栗)。街頭で炒りながら売られているのは、中国産のクリ(チュウゴクグリ、シナグリ)。いわゆるアマグリ。漢字で書く栗に相当する。シバグリに比べて果実が大粒。

クリの花が咲くのは6月ごろ、雌雄同株で葉のもとから細長い花序を出しクリーム色を帯びた白色の雄花を穂状にたくさんつける。雌花はその下の方に数個つく。花は独特の強い甘い香りを放ち、昆虫を引き寄せ受粉する。虫媒花である。秋とげ状のいがの中に1~3個の堅実が実る。イガが茶色くなり、成熟するとイガが割れ実が現れる。

堅い果皮の殻の下に、さらに種皮の渋皮がある。食べるのは種子の子葉部分、デンプンと糖分が主成分、栄養的に優れていて、戦国時代は兵糧として用いられ、乾して臼でひき皮と渋皮を取り除いたものが搗栗(かちぐり)で、搗栗は「勝」に通じるとして出陣に欠かせないのもであった。現在もお正月の縁起物として用いられる。

葉を栗葉といい、タンニンを含み染料になる。また生葉は漆カブレに対する収斂薬として外用する。樹皮にはタンニンを含み媒染料、鞣皮料にもされる。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・木の花2 (山と渓谷社) 
  ・日本の樹木(山と渓谷社)
  ・花と樹の事典 木村陽二郎 柏書房

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