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クスノキ(樟木)

商品写真
上:鳴門市 大麻比古神社ご神木のクスノキ
中・下:大阪市立長居公園 クスノキの花と青い実

クスノキ(樟木)Cinnamomum camphora Siebold  
 被子植物 Angiosperms 
  被子植物基底群Basal Angiosperms>モクレン類Magnoliids
   クスノキ目Laurales
    クスノキ科 Lauraceae ニッケイ属 Cinnamomum

  別名:クス
  英名:カンファーツリー

  
東洋の香料ともいわれる、クス油や樟脳等を採る

利用部位 :葉、木部   
利用   :医薬品原料、防臭防虫剤、塗料溶剤、クス油原材料
名前の由来:南方系で香りのことをラカイrakai、ラクスrakusと言うが、このraが取れてクスに
      なったという説。また、薬の木(くすりのき)、臭し木(くさしき)など諸説ある。

関東地方から南部、九州、四国の暖地に生える常緑高木。クスノキは邪馬台国伝説「魏志和人伝」にもヨショウ(豫がはられた樟)の名が登場するように、古代から日本の暖地に自生していた木。神社などでは御神木とされ、しめ縄をした樹齢何100年、何1000年の巨木をよく目にする。花は高い枝の上で咲き、小さく目立たないため、あまり気が付かないが、初夏5〜6月、枝一面に淡いクリーム色の小花をつけ良い香りがする。秋10〜11月、直径7〜8mm程度の青緑色で球形の果実が、紫黒色に熟しこれも地面一面真っ黒になるほど落下する。

クスノキは樹全体に樟脳を主成分とする精油を含み、天然樟脳を製造する原料樹として極めて重要な資源植物で古くから東洋の香料として、ヨーロッパでは珍重されてきた。

木部を水蒸気蒸留し精油を採取し、留液から樟油(クス油)と白い結晶の樟脳(d−カンフル)をとりだす。現在、樟脳の用途は防虫剤ぐらいしか思い浮かばないが、戦前は日本の貴重な輸出品で香料、防虫剤、医薬品原料、打撲傷薬、セルロイド、写真フィルムなどに幅広く利用されていた。しかし戦後は安価な合成品のため天然樟脳の需要は激減して殆ど造られなくなってしまった。

起死回生のカンフルといわれる、現在は製剤はないが、かってのカンフル注射のカンフルは、“camphora”という種名からのもの。
防虫効果と腐食に強いことから船の材や仏像を造る用途にも用いられてきた。
現在は常緑で、葉をつける密度が非常に高いことから交通騒音低減のために主に街路樹に植えられたりしている巨木になるので、かなり広い道路幅が必要とする。

成分
  精油:αピネン、カンフェン、リモネン、ジペンテン、フェランドレン、サフロール、
     テルペネオール、カルバクロール、オイゲノール、カンファーなど

用途と利用法
  ・局所刺激、局所消炎作用、血行促進作用があることから、チンキ剤や軟膏などに配合し、
   打撲傷、神経痛に外用する。
  ・防臭防虫剤に
  ・乾燥葉は袋にいれモスバッグ(虫除けのにおい袋)にできる。

―鳴門市 大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)ー
社殿の前面にクスノキのご神木が聳えている。樹齢約千年 樹高22m、幹周り8.3m、実に堂々たる大木である。
高松自動車道の鳴門を過ぎると、間もなく赤い大きな鳥居が見えてくる。阿波国一宮の大麻比古神社だ。通称「大麻さん」。御祭神は大麻比古大神と猿田彦大神の二柱の神様。鳴門市ドイツ館も見えてくるので直ぐに分る。神武天皇の御代 阿波の忌部氏(いんべし)は阿波国を開拓し麻や楮(かじ=コウゾ)の種を播いて麻布などをつくり郷土の産業の基を開いて人々の福利を勧めたと伝えられる。忌部氏が祖先の神様(天日鷲命)をお祭りした神社が忌部神社で麻植の神としてその御神徳をたたえ、忌部氏の大祖先の神様(天太玉命)をもお祭りし郷土の守り神としたのが大麻比古神社の由来と伝えられる。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉(山と渓谷社)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)


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