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ニッケイ(肉桂)

商品写真
上:武田薬品 京都薬用植物園 ニッケイの花 
中・下:ニッケイの葉 3本の葉脈が特徴

ニッケイ(肉桂)Cinnamomum sieboldii Meisn
被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類 Magnoliids
   クスノキ目 Laurales
     クスノキ科 Lauraceae ニッケイ属 Cinnamomum

日本桂皮 Japanese Cassia

生薬名  :ニッケイ(肉桂)、日本桂皮 
利用部位 :根皮、樹皮
利用   :医薬品原料、スパイス、製菓用香辛料
名前の由来:根に近い樹皮の厚い部分を、漢名で肉桂と言っていたのをそのまま音読みした。

日本南部の暖地で半野生状態になっているニッケイはかって、九州や四国の南部、和歌山などで、根の皮からニッキ(肉桂)を採取するため江戸時代から栽培してきた。良い香りがし、甘味、辛味があるので主に製菓用香辛料として需要があった。残りの切れ端は束ねて駄菓子として販売もされていた。徳島県の霊場札所ではニッキ水を販売している処もある。

中国雲南省、ベトナムに自生し、日本への伝来は1681年(天和元年)帰化僧の心越(しんえつ)が苗を輸入し小石川白山御殿(現在の小石川植物園)、水戸藩邸に植えたという記録がある。

日本で現在、野生や栽培されているニッケイ(日本ニッケイ)は一応東南アジア原産のCinnamomum sieboldii Meisnとされているが、従来ニッケイはインドシナ産のCinnamomum loureirii Nessと同一であるとされていた時もあった。
また、徳之島や沖縄本島、久米島の山地にも野生種、Cinnamomum okinawaense Hatushimaが自生することから、現在日本で栽培されているものと比較すると、同一であるという結果になり、Cinnamomum okinawaense Hatushimaが起源だという説もあり、心越(しんえつ)が輸入した苗と現在のニッケイが同一とは考えにくいなど、現在でも野生や栽培されているニッケイ(日本ニッケイ)は分類学上、正確な確定はされていない。

ニッケイの葉は先端がとがって細長く長さ10〜15cmの長楕円形。縁は全縁(ギザギザはない)。互生する葉は光沢があり端正で美しい、葉脈の3本が目立ち、2本の側脈が葉の先端付近まで伸びる。春〜初夏、淡黄緑色の小花を多数つける。実は秋に黒く熟す。花や実のこれらの様子は同属のクスノキと同じ。

香料植物の中でも最古のスパイスと言われている、インド原産のニッケイにはセイロンニッケイCinnamomum verumとケイCinnamomum cassiaの2種類があり現在、日本薬局方ではCinnamomum cassiaの樹皮または周皮をケイヒ(桂皮)として、芳香性健胃薬として医薬品原料に用いる

日本産のニッケイはこれらの近縁種で樹皮や根に芳香があり、根皮をニッケイ(肉桂)、日本桂皮(Japanese Cassia)といい、C. cassiaを基原とする生薬ケイヒ(桂皮)の代用として芳香健胃薬とするほか、風邪薬や神経痛薬にも配合されるが、かつては主として菓子香料として消費された。ちなみに京都の銘菓「八つ橋」にも使われていた。ニッキ飴やニッキ水などの香料としても辛味の効いた独特の芳香が喜ばれている。

成分
フェニルプロパノイド系のケイヒアルデヒドを主成分、その他シネオール、シトラール、リナロール、カンフェンなど精油のほか、脂肪油、シナモンタンニン、糖類などの甘味物質。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・ヤマケイポケットガイド ハーブ 亀田竜吉 (山と渓谷社)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 (柏書房)
  ・日本薬草全書 (新日本法規出版)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)


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