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テンダイウヤク(天台烏薬)

商品写真
上:大宇陀 森野旧薬園 テンダイウヤクの花
下:熊野古道 波田須 テンダイウヤクのまだ青い実

テンダイウヤク(天台烏薬)Lindera strychnifolia Fernandez-Villar
被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類 Magnoliids
   クスノキ目 Laurales
     クスノキ科 Lauraceae クロモジ属 Lindera

  秦の始皇帝が求めた不老長寿の仙薬

生薬名  :ウヤク(烏薬)、テンダイウヤク(天台烏薬)
利用部分 :根
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来:ウヤクの「烏」とはカラスの事。ウヤクの根がカラスの頭に似ているからとも、
      実がカラスのように黒いからとも言われている。単にウヤクで良いのだが中国の
      天台山に良品がでたのでテンダイウヤクと呼ぶ慣わしになった。

テンダイウヤクには有名な伝承がある。
司馬遷の「史記」によると、秦の始皇帝は不老長寿の霊薬を求めて、徐福を東の海のかなたの蓬莱に派遣したとある。熊野の波田須に徐福が漂着したとの伝承があり、徐福が求めた秘薬とは熊野に自生するテンダイウヤク(天台烏薬)だとも、逆に徐福が熊野にもたらしたとも言う伝説がある。またずっと後、江戸時代享保年間に中国から渡来したとの説もあり定かではない。いずれにしてもテンダイウヤクは重用される生薬ではあるが、不老不死をもたらすほどではない。

テンダイウヤクは常緑の低木で4〜5月頃、枝先の互生する葉腋に淡黄色の小花を多数つけ、秋、9〜10月頃、黒く熟した実になる。ウヤク(烏薬)、カラスの由来ともなった黒。
葉は革質で薄く、葉先が急に長く尖っている。光沢のある葉面には明らかな3本の主脈があり、花や実の様子からクスノキ科だということが良く分かる。

根はところどころ肥厚し連珠状の塊根になっていて、甘い芳香があり薫香料としても用いられる。
この根を春に堀り、水洗した後、日干しにする。この根をウヤク(烏薬)またはテンダイウヤク(天台烏薬)と称し、芳香健胃整腸薬、月経時の止痛に、また腎臓、胃、リウマチなどに用いる。
新鮮な葉(烏薬葉)は搗き砕き油でいため、関節リウマチ、打撲痛に患部に貼付する。


成分
根に芳香性の精油成分
  L-ボルネオール、リンデレン、リンデラン、リンデレノン、リンデストレン、
  リンデラズレン、リンデリン酸等を含む

漢方処方例
漢方では、気のめぐりを良くし脳卒中後の後遺症の改善、脳卒中(脳出血、脳梗塞)の予防、胃腸を丈夫にする烏薬順気散に、又小腸のヘルニアなどで痛みが臍周辺にまで、放散する時に使われる天台烏薬散に配合される。
  ・烏薬順気散(うやくじゅんきさん)     
  ・天台烏薬散(てんだいうやくさん) 

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店) 
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・日本薬草全書 (新日本法規出版)
  ・山渓カラー名鑑 日本の樹木 (山と渓谷社)


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