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コブシ(辛夷/拳)

商品写真
上:薬用にする蕾
中:松本市城山公園 コブシの花 
下:コブシの名の由来の実 

コブシ(辛夷/拳)Magnolia kobus De Candolle 
 被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類Magnoliids
   モクレン目 Magnoliales
    モクレン科 Magnoliaceae モクレン属 Magnolia

生薬名  :シンイ(辛夷)
利用部分 :花の蕾
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来:果実や蕾の形がコブシ(拳)を握り締めたよう様であることから名づけられた。
      生薬名、シンイ(辛夷)はその実を噛むとピリピリ辛く、「夷」は外国から来た植物
      の意味

春未だ浅い早春、桜の花も開花しない冬枯れの山野に、点々と白い花をつけた高木、コブシが見られる。葉が芽吹くのに先立って、枝先に純白の大きな花を咲かせ、木全体が純白の花で覆われる。その見事な様子は早春を彩る花木として、公園、街路樹などによく植えられている。

他の木々に先駆けて咲くコブシの花は全国的に、季節の花として咲き具合に応じて種子を撒くなど、農作業の指標として用いられてきた。東北地方ではタウチザクラの名で親しまれている。

樹皮も花も良い香がするが、薬に使うのは花の蕾。毛筆の筆先のような形をし、柔らかい毛で覆われている蕾を採取し陰干しする。用途も鼻の薬、慢性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)の鼻づまり又頭痛に使われる。コブシの花の蕾以外にもタムシバMagnolia salicifolia、ハクモクレンMagnolia denudataの蕾も日本薬局方ではシンイ(辛夷)として薬用にする。

タムシバとコブシの花はほとんど差がなく見分けがつきがたいが、タムシバは別名ニオイコブシといわれるように葉を切るとよい香りがする。ハクモクレンともよく似ているが、違いはコブシは花の下に1枚の若葉がつくことと、花弁が狭く、花が全開しないので見分けられる。

成分
 ・精油:リモネン、アサロン、サフロール、シトラール、メチルオイゲノール
 ・アルカロイド:コクラウリン、レチクリン
 ・リグナン:マグノサリン、マグノシニン など

漢方処方例
 漢方では、鎮静、鎮痛を目標に、頭痛、頭重感、鼻づまりなどに用いる。
  ・辛夷湯     (しんいとう)
  ・辛夷清肺湯   (しんいせいはいとう)、
  ・葛根湯加辛夷川弓(かっこんとうかしんいせんきゅう) などに

コブシの実
袋果が集まり、コブのある不規則な実がなる。名前の由来ともなっている。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著    (株式会社エヌ・ティ・エス)

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