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ホウノキ(朴の木)

商品写真
上・中:下鴨神社境内
下:武田薬品 京都薬用植物園 花後の袋果 
下:赤沢自然林

ホウノキ(朴の木)Magnolia obovata Thunberg 
 被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類 Magnoliids
   モクレン目 Magnoliales
     モクレン科 Magnoliaceae  モクレン属 Magnolia

  ホウ葉味噌に利用

生薬名  :コウボク(厚朴)
利用部分 :樹皮
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来:食べ物を包む「包の木」と言う意味から「ホウノキ」
      生薬名コウボク(厚朴)はホウノキが厚い皮をもつことからの名

モクレンやコブシと同じモクレン科。20〜30mを越す大木になる日本原産の落葉高木。
秋から冬の山中で、枯れ葉の中でひときわ大きい落ち葉はホウの葉だ。バサバサと落ちているのであたりにホウノキがあることが分かる。見上げるような大木のため葉も花も身近に見ることは少ないが葉も花も大きく、実におおらかで清々しく伸びやかな感じの樹木だ。花は非常に高い枝先に上向きに咲くので殆ど気がつかないが、初夏5月頃、白い香り高い大輪の花を咲かせる。街路樹によく植えられている同じモクレン科のタイサンボク(泰山木)の花に似ている。
花の後、袋状の果実が実る。袋果が多数集まった長さ10〜15cm程の集合果で、中に種子が入っている。熟すと裂け、赤い種子が白い糸でぶら下がる。

葉にも芳香があり、その移り香りは食べ物に風味を添えると供に、殺菌作用があるため食材を包むのに利用される。食べ物を包む「包の木」と言う意味から「ホウノキ」になったという説もあるぐらいホウノ葉はご飯を盛る食器代わりに、また餅、味噌を包むなど、昔から私たちの食生活に利用されてきた。
ホウノキの材質は木目も美しいので彫刻や版木、家具、工芸品、細工物の材料に賞用された。現代は下駄を履く機会も失われてしまったが、昔のバンカラ学生が「朴歯・ホウバ」の高下駄を履いて闊歩していた記述が小説に登場するようにかつては下駄の歯にも良く使われた。

樹齢30年位の太いホウノキを倒し、皮を剥ぐ。水分を吸って剥きやすくなっている、ホウノキの花が咲いた初夏の頃が適期。樹皮はコウボク(厚朴)という漢方薬の原料ともなる。
コウボク(厚朴)は多くの漢方処方に配合され、鎮痛、鎮静、抗菌、抗潰瘍など薬理作用が認められている。健胃、整腸消化、収れん、利尿、去痰の目的で様々な薬に配合される


成分と薬効
精油約1%β‐オイデスモール(β‐eudesmol)を主成分として α‐及びγ‐オイデスモール(α‐及びγ‐eudesmol)マグノロール(magnolol)、ホオノキオール(honokiol)ななどを含み、鎮痛、鎮静、抗菌、抗潰瘍作用がある。

漢方処方例
 厚朴は単独では使用しない。主に健胃消化薬、芳香性健胃薬、鎮咳去痰薬とみなされる漢方処方及その他の処方に使用される。
  ・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
  ・胃苓湯  (いれいとう)
  ・平胃散  (へいいさん)
  ・小承気湯 (しょうじょうきとう) など

ホウの葉の活用
モクレン科特有の芳香があり、殺菌作用のあるネオリグナン、マグノールやホウノキオールを含んでいるので、食べ物を盛る器として利用される。葉は火に強くあぶっても大丈夫なのでホウ葉味噌、ホウ葉餅に利用される。ホウ葉寿司にも利用される。

   ホウの葉
     ホウノキ葉

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・万葉の植物 松田 修著 (保育社)

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