トロロアオイ（黄蜀葵）

商品写真
上･中：大阪薬科大学薬用植物園　トロロアオイ花と下は�櫺�
下：大阪市立大学付属植物園

トロロアオイ（黄蜀葵）Abelmoschus manihot Medicus
真正双子葉植物Eudicots＞中核真正双子葉植物Core Eudicots＞バラ類Rosids＞アオイ類Malvids
　　　アオイ目 Malvales
　　　　　アオイ科 Malvaceae　トロロアオイ属 Abelmoschus

和紙作りに不可欠な“ねり“の原料植物

生薬名　　：オウショッキコン（黄蜀葵根）
利用部分　：�〆�　�⊆磴げ娘�
利用　　　：�］損羸渋ぁ〔�用　�⊃�用
名前の由来：タチアオイ（蜀葵）に似て花が黄色であることからオウショッキ黄蜀葵
　　　　　　花がタチアオイの花に似ているのと、根の粘液を”トロロ”にたとえての名。

中国が原産地。日本へは慶長年間（１５９６〜１６１５年）に渡来。アオイ科の１年草。薬用や観賞用、和紙の製造の粘着材用に栽培される。草丈1〜２ｍ、長い葉柄に付く葉は大型で、掌状に５〜7深裂し茎に互生する。観賞用に草丈の低い矮性種もある。
夏、直径１０〜２０ｃｍにもなる、大型の淡黄色の花を咲かせる。雄しべは多数集合し単体になっている。雌しべは長く突き出て先は５裂する。花の中心部は紫褐色で、オクラの花に似ているが、オクラより花は大きい。1日でしぼむ1日花。オクラそっくりの�櫺未�みのる。硬くならない若いうちはオクラのように食べられる。

地下に太い紡錘状の根があり粘液を含んでいる。この粘液から“ねり”という糊を作る。和紙はミツマタ、コウゾなどの繊維をつきほぐし、湿った綿のようにしてから、流し漉きを行う。このとき“ねり”と呼ばれる植物性粘着剤が必須となる。“ねり”は植物性繊維を均一でしかも緊密に絡ませる働きをする。粘着剤のような働きにはユキノシタ科のノリウツギの樹皮とともにトロロアオイの根の粘液が不可欠となる。

秋、仲秋の頃、根を堀上、水洗した後、外皮を除き日干した物が生薬名、オウショッキコン（黄蜀葵根）、咽頭刺激緩和のため、鎮咳剤に配合される。しかし現在は薬用より、和紙製造用が主な需要になっている

主な成分
　・粘液質：ラムノース、ガラクツロン酸よりなる多糖類
　・糖類　：アラビノース、ブドウ糖、キシロース、ガラクトース、ラムノース
　　　　　　アルドビオン酸、ラムガラクツロン酸
　・脂肪酸：パルミチン酸、エライジン酸、ステアリン酸
　　　　　　　　　　　　　　　　など

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・日本薬草全書　　水野瑞夫監修　田中俊弘編集　（新日本法規）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎　（柏書房）

（コメント）
和紙は世界に誇る日本の紙だ。軟らかい風合い、丈夫な性質。いろいろの絵画が和紙に描かれた美術品は芸術家の優れた技量は無論だが和紙という、素材が無ければ成し遂げられなかったのではないかと思う。
厳しい冬の冷たい水で和紙は漉かれる。なぜ冬なのかと思っていたが、繊維を繋ぐ“ねり“の原材料トロロアオイがいたみやすいからだそうだ。腐敗しやすいので寒くないと駄目なのだそうだ。暖房も無論、駄目で和紙つくりの大変さが推察される。



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