ウマノスズクサ（馬の鈴草）

名前から探す	ア行	カ行	サ行	タ行	ナ行	ハ行	マ行	ヤ行	ラ行	ワ行
用途から探す	漢方薬	製薬基源植物	日本薬局方生薬	民間薬・薬用	ﾊｰﾌﾞ･ｻﾌﾟﾘﾒﾝﾄ	香料・香辛料	食用と嗜好品	染色・繊維	油脂	鑑賞用・その他

Photo：日本新薬　山科植物資料館花は青緑色、先端が紫色　食虫植物のような形をしている。

ウマノスズクサ（馬の鈴草） Aristolochia debilis　Siebold　et　Zuccarini　
　被子植物　Angiosperms
　　被子植物基底群　Basal Angiosperms　＞モクレン類 Magnoliids
　　　コショウ目Piperales
　　　　　ウマノスズクサ科Aristolochiaceae 　ウマノスズクサ属 Aristolochia

ジャコウアゲハ・ベニモンアゲハの食草

生薬名　　：①アオモッコウ(青木香）ドアオモッコウ(土青木香）②バトウレイ（馬兜鈴）
利用部分　：①根(秋、地上部が枯れてとき）②果実（秋緑色から黄変した頃）
利用　　　：民間薬
名前の由来：葉が馬面（うまづら）に似ることから。馬面は馬の顔の正面にあてる戦場での防具。
　　　　　　花後に出来る果実は熟して乾くと上の方が６つに裂けて釣り下がる。
　　　　　　その形が馬の首につける鈴に似ることからウマノスズクサ。　
　　　　　　馬兜鈴は中国名をそのまま用いた名。

ウマノスズクサ属はオーストラリアを除く全世界に３００種程、主に熱帯に、少数が温帯に分布。
ウマノスズクサは関東以西、四国、九州、沖縄などの日当たりの良い原野や河原に自生する多年生つる植物。太い根は横に伸び、強靭なつるで他植物に絡みつき成長する。冬、地上部は枯れる。葉はヤマイモノそっくりな形をしている。
夏、がく片が合着し”うねったラッパの形状”に似た花を咲かせる。食虫植物のような形をしているが、虫を食べるわけではなく受粉してもらう為の形で、一旦入った虫はなかなか外に出られない。

基部のふくらみの中に雄しべ、雌しべが柱状に立っている。花の後、実る果実はほぼ球形、熟すると基部が６つに裂ける。バトウレイ（馬兜鈴）で、かつて漢方では鎮静、鎮咳、去痰に用いた。

秋、地上部が枯れる頃、根を採取する。精油アルストロン、マグノフロリン、アリストロキア酸を含む。利尿、降圧、解毒、抗菌などに昔は生薬として重宝されたが、アリストロキア酸に腎毒性があることが分り、現在、日本では根、果実とも薬用に使用しない。

むしろ、ウマノスズクサはジャコウアゲハの食草としての方が有名になっている。
ジャコウアゲハはウマノスズクサに産卵し、この葉を食べて成虫の蝶になる。アリストロキア酸を体内に蓄積しこの毒性を利用して鳥などから捕食されるのを避けている。自然界における生物の知恵の奥深さには感心させられる。

ジャコウアゲハに似たベニモンアゲハ
　”タチアワユキセンダングサ”を吸蜜する”ベニモンアゲハ”（羽が痛んでいるのは残念）
　　　　宮古島１

　　　　　Photo：宮古島
西はインドから東はボルネオ、パラワン島まで熱帯に生息する蝶。琉球列島は分布の北限。
ジャコウアゲハとの違いは羽に白い斑紋があること、ジャコウアゲハと同じウマノスズクサに産卵し、幼虫はその葉を食べて大きくなる。

タチアワユキセンダングサ　Bidens pilosa var.radiata　キク科センダングサ属
　　別名：ビデンス・ピローサ
元々は北米原産で第二次世界大戦後　米軍とともについてきた帰化植物。街路や庭に入り込んでくる草で沖縄の雑草の代表格らしい。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・生薬単　原島広至著　　（株式会社エヌ・ティ・エス）
　　・山渓名前図鑑　野草の名前　夏　高橋勝雄著　（山と渓谷社）
　　・原色日本蝶類生態図鑑１（保育社）

ウマノスズクサ（馬の鈴草）

科目別の一覧