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ウスバサイシン(薄葉細辛)

商品写真
上:東京都立薬用植物園
中:東京薬科大学薬用植物園 
下:西宮市北山緑化植物園 

ウスバサイシン(薄葉細辛)Asiasarum sieboldii F. Maekawa
 被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類 Magnoliids
   コショウ目 Piperales
    ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae  ウスバサイシン属 Asiasarum

別名:サイシン(細辛)、ニッポンサイシン(日本細辛)

生薬名  :サイシン(細辛)
利用部分 :根 根茎
利用   :日本薬局方生薬、漢方薬処方生薬
名前の由来:根が細く味が辛いことから細辛。また葉が薄いことからウスバサイシン。
      種小名の sieboldii は日本植物の研究者「シーボルトの」という意味。

本州以西各地の山地のやや湿った樹陰に自生する宿根性多年草。葉は冬には枯れるが春先、根元から5〜10cm程の長い柄のある2本の葉を伸ばす。葉はハート型でカンアオイが厚いのに対し薄い。4〜5月ごろ、2葉柄の間から紫褐色の花を地面ギリギリ、横向きに咲かせる。花のように見えるのはがく片で下部は合着し、扁球形のがく筒になる。筒の先端は3つに分裂し先がつまんだよう尖っている。
内部に雄ずいが12個、花柱は6個、先端が2つにわかれ、外側に柱頭がある。上方から見ると葉にかくれているのと花が地味で目立たないので注意しないと分からない。

薬用には7〜9月にかけて根や根茎を掘り上げ水洗し日陰で乾燥させたものを用いる。
精油成分を含み漢方では主に解熱、鎮咳、去痰、鎮痛、新陳代謝機能の亢進を目的に処方する。
近年地上部には腎障害をおこすアリストロキア酸が含まれているのが分かった。(アリストロキア腎症)このためで薬用には地上部(葉や茎)を混入してはならないとされている。
アリストロキア酸はウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)が語源で、ウマノスズクサ科の植物に広く存在する。


しかしこの毒性を逆に利用している生物に蝶のジャコウアゲハやヒメギフチョウがいる。
ウスバサイシンに産卵し、幼虫はこれを食草し体に蓄積させ、鳥などの天敵に対して有毒な体を造って防御している。

成分
  ・精油:メチルオイゲノール、βピネン、サフロール、リノネン、シネオール、
      アサリルケトン、オイカルボン
  ・アルカロイド:ヒゲナミン
  ・辛味成分:ペリトリン
漢方処方
  鎮咳去痰薬、鎮痛薬とみなされる処方に配合される。
   ・小青竜湯    (しょうせいりゅうとう)
   ・麻黄附子細辛湯 (まおうぶしさいしんとう)
   ・当帰四逆湯   (とうきしぎゃくとう)
   ・立効散     (りっこうさん)
   ・苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)など

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著(広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著(株式会社エヌ・ティ・エス)
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 春 高橋勝雄著(山と渓谷社)
  ・原色日本蝶類生態図鑑(保育社)
  ・漢方 生薬学 木村孟淳 (不知火書房)
  ・日本薬草全書 水野瑞夫監修 田中俊弘編集(新日本法規)

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