フタバアオイ(双葉葵)

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上・中：旧三井家下鴨別邸　花と葉　
下･下：下鴨神社の葵桂の飾り

フタバアオイ(双葉葵)Asarum caulescens Maxim
　被子植物 Angiosperms
　　被子植物基底群　Basal Angiosperms　＞モクレン類 Magnoliids
　　　コショウ目 Piperales
　　　　　ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae 　カンアオイ属 Asarum
　　　
　　別名：カモアオイ（賀茂葵）
　　　葵祭で飾られる

利用　　　：葵祭の祭礼、観賞用
名前の由来：葉が２枚つく、双葉のアオイの意味

本州、九州、四国などの山地や木陰に自生する日本の固有種。ウスバサイシン同様葉が薄いが光沢がある。文字どおり2枚の葉を延ばす。
賀茂社の神紋はフタバアオイを図案化したもの。花も描かれている。
現在は徳川家の葵の紋の基と成った植物で有名だが、元々徳川氏が葵を紋に用いたのも三河地方の賀茂神社とのつながりによると言われる。徳川家の紋はこの葉を３枚組み合わせ図案化したもの。

花は5月頃咲く。葉と葉の間の分岐点から花茎を伸ばし下向きに１つ花をつける。赤茶色のがく筒の先端は3裂するが、ウスバサイシンと違い外側にそり変えるので筒状に見える。入り口に近い部分に雄しべ、奥に雌しべがあり、花弁は無い。

花の咲く頃、京都の葵祭が行われ、平安王朝の華やかな様子が再現される。
葵祭にはウマノスズクサ科のフタバアオイが飾られることからカモアオイの名がある。
フタバアオイとカツラの枝の「葵桂（きっけい）」を冠や胸に飾った行列が都大路を行く様子は誠に雅。内裏宸殿の御簾をはじめ、御所車、勅使、供奉者の衣冠にいたるまで、アオイ（フタバアオイ）とカツラでかざるところから葵祭と称される。
源氏物語にも葵祭の様子が記載されているほど伝統のある祭礼である。賀茂社の神紋はフタバアオイを図案化したもの。花も描かれている。
薬用などの実用はないが、世界遺産になっている賀茂神社の祭礼、葵祭りのシンボルとして欠かせない花としてとりあげた。

下鴨神社（賀茂御祖神社）河合社に飾られている賀茂神社の神紋
　　　　　下賀茂神紋

　　　

フタバアオイの葉と花が意匠化され提燈に描かれる。河合社には鴨長明の方丈が復元されている。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・野草の名前　春　高橋勝雄　解説（山と渓谷社）
　　・花と樹の事典　木村陽二郎　（柏書房）
　　・日本の野生植物　草本Ⅱ　（平凡社）
　　・植物分類表　大場秀章　編著　（アボック社）

フタバアオイ(双葉葵)

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