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キンマ 

商品写真
Photo:京都府立植物園 温室

キンマ Piper betle Linne
 被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms > モクレン類 Magnoliids
   コショウ目 Piperales
     コショウ科 Piperaceae  コショウ属 Piper

生薬名  :クシュウ(蒟醬)
利用部位 :葉
利用   :薬用、嗜好料 
名前の由来:キンマは、タイ語のキンマークからか。
      タイ語で キンは噛む、マークはビンロウ(檳榔)。
      キンマークは いわゆるキンマ噛み betel chewing を言う

マレーシャが原産の木本性のつる植物。雌雄異株で古くから栽培されている。葉は厚く、ハート形をしている。
葉をキンマ葉、クシュウヨウ(蒟醬葉)と呼び精油成分0.8〜1.8%を含む。アリルベンゼン化合物でチャヴィコール(Chavicol)、チャヴィベトール(Chavibetol)を主成分とし芳香と辛みがある。

東南アジア、インド、ミクロネシアにかけての人々はタバコを吸うようにベテル(betle)をかむ。
ベテル(betle)の作り方は ビンロウシの未熟な種子を削ったものに練った石灰を加え、時にはチョウジ(丁子)やシナモンを加え新鮮なキンマの葉に包む。現地の人々は、これを口中清涼剤として口中に入れて噛む習慣がある。ベテル・チューイングだ。ベテル・チューイングはタバコ・スモーキングと並ぶ人の奇妙な風習の一つといえる。


ベテルを噛むと強い刺激が口中に広がり、唾液分泌が促進されビンロウシ成分や石灰と反応して唾液 が真紅に染まる。これを飲み込まず、吐き出す。
ビンロウシに含まれるアルカロイドのアレコリンやキンマの精油成分(チャヴィベトール、チャヴコール)の作用により 気分が爽快になる、という。但しこうした風習を続ける愛好者の歯は黒く変色しあごも変形するという。
キンマ噛み betel chewingの風習は古代から行われていたようで、ギリシャの史家ヘロドトスによって、記述されているほど、また中国でも漢代に中国南部でこうした風習があった記述があり、キンマにチュイチャン(蒟醬)の字があてられている。
近年は、こうした風習は歯への影響、また口腔ガンを引き起こすとの報告もあり禁止している国もある。
キンマ葉、自体は漢方では健胃薬、去痰薬などに薬用される。

共に用いられるビンロウの実
ビンロウ実日本2

    Photo:日本新薬 山科植物資料館 温室
    未熟なビンロウシや石灰をキンマの葉で包む。

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・最新生薬学 刈米達夫著  (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)



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