シキミ（樒、櫁、梻）
シキミ（樒、櫁、梻） Illicium anisatum Linne
被子植物 Angiosperms 被子植物基底群 Basal Angiosperms
アウストロベイレア目 Austrobaileyales
マツブサ科 Schisandraceae（←シキミ科 Illiciaceae）シキミ属 Illicium
生薬名 ：モウソウジツ（莽草実）、シキミ実(樒実)
利用部位 ：葉、樹皮（乾燥させる）
利用 ：線香、抹香
名前の由来：実は猛毒でシキミの名も悪しき実から転じたとも言われる。
関東より西、四国、九州、沖縄など比較的暖かい地域の山地に自生する広葉常緑樹。成長すると樹高１０ｍ程になる。
神事に使われるサカキ(榊)と対照的に仏事に使われるので、寺院などで植栽している。
春3〜4月にかけ、枝先に淡い黄色の花を多数咲かせる。花弁はよじれた感じ。花の後、８〜１２個の袋果が星状に並んだ果実をつける。秋、９〜10月頃熟すと袋果が裂け種子が出る。シキミの乾燥した実 シキミ実、モウソウジツ（莽草実）は有毒なので、トウシキミの果実、ハッカク（八角）、ダイウイキョウ（大茴香）と間違わないよう要注意.
実の形が中華料理で用いられるハッカク（八角）トウシキミの果実に形状が酷似する。そのため誤用されたりするが、有毒であるので、誤用してはならない。中毒症状は全身けいれん、おう吐、意識障害など。最悪は死に到る。主な成分は神経毒のアニサチンで 毒物及び劇物取締法により劇物に指定をされているほどだ。
葉、茎、樹皮は芳香があり、粉末乾燥させて抹香や仏前の線香などに用いる。抹香臭いという言葉があるがシキミの香りのことで、仏教的なこと、説教じみた事などにも転用される。
成分
・有毒成分：アニサチン
・精油：サフロール、シネオール、オイゲノール
名前の類似するミヤマシキミ（深山樒） Simmia j aponica Thunb
ミカン科Rutaceaeミヤマシキミ属Simmia
Photo：武田薬品 京都薬用植物園 ミヤマシキミの雄株の雄花
Photo：武田薬品 京都薬用植物園 赤く熟した球形の液果 （有毒）
関東以西の本州や四国、九州の林下に自生する雌雄異株の常緑低木。柔らかい革質の葉は互生だが4〜５枚、小枝に、やや輪生状につく。葉の裏面は油点があり、揉むと一種の芳香がある。４〜5月枝先に小さな白い花を円錐花序に咲かせる。花弁は4〜５枚。雄株の雄しべは4〜５本。雌株は雌しべが1本。秋から冬にかけて実る果実は球形で赤く熟する。
食用や薬用になる植物が多いミカン科の中でミヤマシキミの実は有毒なので要注意。もっともシキミの名がつくので、有毒であることは連想される。花や実が美しいので庭園の木陰に植えたり、仏前に供えることもある。
参考文献
・朝日百科 世界の植物 （朝日新聞社）
・最新生薬学 刈米達夫著 （広川書店）
・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 （広川書店）
・山渓カラー名鑑 日本の樹木 （山と渓谷社）
・植物分類表 大場秀章 編著 （アボック社）
（コメント）
これまで日本で長く親しまれてきた植物の分類体系は、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果従来 シキミやトウシキミはシキミ科とされていたが、シキミ科を含むマツブサ科にまとめられた。
所属「科」などは近年の遺伝子ＤＮＡ配列に基づく、新分類体系ＡＰＧ�景�式に従った分類、配列順にしています。各、同じ科内での並び順は、学名の属名アルファベット順になっています（Ｔ．Ｋ）