トウシキミ（唐樒）

商品写真
Photo:日本新薬 山科植物資料館
上：トウシキビの花　中：葉　下：トウシキミの果実　　　

トウシキミ（唐樒）Illicium verum Hooker filius
　被子植物 Angiosperms　被子植物基底群 Basal Angiosperms
　アウストロベイレア目 Austrobaileyales
　マツブサ科Schisandraceae(シキミ科Illiciaceae)シキミ属 Illicium(←シキミ科Illiciaceae)　

ダイウイキョウ油（大茴香油）原料　アネト−ル製造原料

　　英名：スターアニスstar anise

生薬名　　：ハッカク（八角）、ダイウイキョウ（大茴香）
利用部分　：果実
利用　　　：香料、スパイス、薬用
名前の由来：Illicium illicere 刺激する、種小名のウエルムverumは本物、純粋の意味。
　　　　　　ウイキョウはセリ科であるが香気が同じなのでウイキョウの名を使い区別の意味から
　　　　　　ダイウイキョウ（大茴香）、ウイキョウをショウウイキョウ（小茴香）と区別。
　　　　　　６〜８個の袋果が放射状になるので八角茴香ともいう。

中国雲南省、広西省からベトナム北部にかけての温かい限られた地域に自生または栽培する常緑高木。日本には自生しない。シキミに似るがシキミより大きい。ヨーロッパには１６世紀に伝えられアニスの代わりに使われた。

葉は長さ３〜６ｃｍ、幅０.８〜２ｃｍ　長楕円形、全縁で先は鋭く尖り、光沢があり互生する。
花は淡紅色または深紅色で年に2回２〜３月、１０〜１１月頃咲くこともある。花の後、実る果実は始め緑色で、熟すと紅褐色になる。乾燥させたものが”八角”（スターアニス）、”ダイウイキョウ（大茴香）”で、独特の香りがあり香辛料、芳香性健胃薬として薬用に使われる。

成分
　　精油成分：アネトール、エストラゴール、メチルカビコール、シネオール、リモネン、
　　　　　　　フェランドレン、ピネン

利用
　薬用に
　　・芳香性健胃薬として、抗菌性もある
　　･水蒸気蒸留しウイキョウ油を得る。
　　　現在日本薬局方ではウイキョウ油原料は　セリ科のウイキョウまたはシキミ科のトウシキミ
　　　の果実を水蒸気蒸留して得た精油と規定している
　　・含有成分シキミ酸が抗インフルエンザー薬、タミフルを製造するさいのリード化合物に
　　　なったことで注目されている。
　料理の香辛料に　
　　・アニス、ウイキョウに似た甘い香りがする、野生的な香り、辛味から中華料理のスパイス　
　　　として欠かせない。豚肉、鶏肉、鴨肉、レバー料理などのくさみ消しに用いる。
　　・飲み物、杏仁豆腐などのお菓子の香りづけ
　　・ミックススパイスの五香粉（八角、花椒、胡麻、桂皮、陳皮の５味がブレンド）にも入る。

香りの類似
ウイキョウ（茴香)Foeniculum vulgare　Miller
　　　　　　　　 セリ科Apiaceae(Umbelliferae)　ウイキョウ属Foeniculum
　　　　　ウイキョウ花代薬
　　　 Photo:大阪薬科大学薬用植物園
茎先に黄色い小花があつまり傘状に広がる全体や特に種にはアニスに似た甘い香りがし料理を初め薬用に用いられる。生薬名はショウウイキョウ（小茴香）。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・第１７改正　日本薬局方　（広川書店）
　　・最新生薬学　刈米達夫著　（広川書店）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著（広川書店）
　　・原色和漢薬図鑑　下　難波恒雄著(保育社)　
　　・食材図典（小学館）
　　・ハーブ大全　リチャード・メルビー著　難波恒雄日本語版監修　(小学館)
　　・植物分類表　大場秀章　編著　アボック社

（コメント）
これまで、日本で長く親しまれてきた植物の分類体系は、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧ�気�発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧ�靴�発表されるに至っている。
その結果従来　シキミやトウシキミはシキミ科とされていたが、シキミ科を含むマツブサ科にまとめられた。


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