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コウホネ(河骨 川骨)

商品写真
上・中:高知県立牧野植物園 コウホネの花
下:大阪薬科大学薬用植物園 花の終わり頃、赤変する

コウホネ(河骨 川骨)Nuphar japonicum De Candolle
 被子植物 Angiosperms
  被子植物基底群 Basal Angiosperms 
   スイレン目 Nymphaeales
     スイレン科 Nymphaeaceae コウホネ属 Nuphar 
 
生薬名  :センコツ(川骨)
利用部位 :根茎(冬期)   
利用   :日本薬局方生薬 漢方処方薬 民間薬として婦人病薬に配合 
名前の由来:泥の中を横に這う太く長い白い地下茎が背骨に似ているので、コウホネ(河骨)に。
      生薬はセンコツ(川骨)に。種小名japonicumは「日本の、日本産の」の意味。

夏の水辺を彩るスイレン、ハスとともに代表的な水生植物。かつては各地の小川、沼地に自生していたが近年の開発により河川でコウホネを見かけることは少なくなった。スイレンのような華やかさはないが、濃い緑の葉、黄色の花と涼しげで風情ある花姿は、日本庭園の池に良く似合い植えられている。

葉には地上葉と水中葉があり、多くは中空の葉柄を水上に20〜30cm程、長く伸ばし立ち上がる水上葉で、水面に浮かばない。長卵形で基部は矢筈状に切れ込み濃い緑色をしている。
一方水中葉は薄くて細長く、水底にあって水上には出て来ず、熱帯魚を飼うと時、よくアクアリウムの中に植えられ鑑賞される例もある。
6〜9月花茎を水面上に出し水面より浮き上がり、直径4〜5cm程の黄色い花を1個付ける。
5枚の黄色の花弁に見えるのは「がく片」。がくの中に爪のように湾曲して並んでいるのが多数見える。これが花弁。その内側に多数の雄しべ、中心に盤状の柱頭が1つある。受粉後の緑色の果実は水中で熟し、多数の種子を水中に放出する。

水底に横たわる根茎には葉柄がついていた痕跡が無数についている。その様子が背骨に似ていることからセンコツ(川骨)の名がついた。10月から翌年3月の冬期にかけて根茎を採取し細い根を切除き約30cmに切りそろえ縦割し乾燥する。
解熱鎮痛消炎剤になる。生薬では白く新鮮なものが良品とされている。古くなったものは薬用には不可なので、手早く乾燥させる事が大切。近年生産量は減少し、中国からの輸入に依存している。


主要成分
 ・アルカロイド:ヌファリジン、デオキシヌファリジン、ヌファラミン
 ・タンニン:ガロイルグルコース

主な薬効、用途
漢方では利尿作用 利水の効果から、鬱血性浮腫、打撲傷に用いられる。
また浄血薬として、産前・産後、生理不順、血の道症などに、鎮静作用もあり婦人科の神経興奮状態に応用されるなど止血、利尿、強壮のために用いられてきた。
漢方処方用薬として、解熱鎮痛消炎剤とみなされる治打撲一方に配合され打撲、ねんざによるはれ、痛み、打撲後遺症 に用いられる。 その他、強壮および止血薬として産前、産後の出血、月経不順などで気分がすぐれないなど、広く婦人病薬に配合される。

 処方例
  ・治打撲一方(じだぼくいっぽう)
  ・実母散  (じつぼさん)

参考文献
  ・朝日百科 世界の植物 (朝日新聞社)
  ・第15改正 日本薬局方解説書 (広川書店)
  ・最新生薬学 刈米達夫著 (広川書店)
  ・薬用植物学各論 木村康一・木島正夫共著 (広川書店)
  ・生薬単 原島広至著 (株式会社エヌ・ティ・エス) 
  ・原色和漢薬図鑑 下 難波恒雄著 (保育社) 
  ・山渓名前図鑑 野草の名前 夏 高橋勝雄著 (山と渓谷社)
  ・花と樹の事典 木村陽一郎 監修 (柏書房)

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