ノリウツギ（糊空木）

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Photo：駒ヶ根

ノリウツギ（糊空木）Hydrangea　paniculata 　Siebold　　
真正双子葉類Eudicots ＞中核真正双子葉類Core Eudicots ＞キク亜綱Asteridae
　　ミズキ目Cornales　　　
　　　アジサイ科Hydrangeaceae (←ユキノシタ科Saxifragaceae)　アジサイ属Hydrangea

初夏を彩る白い花　和紙をすく時の糊の原料

利用部分　：樹皮
利用　　　：和紙製紙用の糊の原料
名前の由来：和紙をすく際、樹皮の靭皮部の粘液を糊に利用したことによる。

ウツギという名のつく植物は数多い。ウノハナの名で呼ばれるウツギが代表するウツギ属、アジサイ属のコガクウツギ、ノリウツギ、バラ科のコゴメウツギ、フジウツギ科のフジウツギ、スイカズラ科のツクバネウツギなどがあり多種でウツギの名がついている。いずれも落葉低木で茎の髄の部分が中空になっている共通点に由来してウツギの名が附く。ノリウツギはアジサイ属。全体が大きく樹高２～３ｍ。通常のアジサイ属のアジサイやガクアジサイの花のように球形や円板状にはならない。
円錐状の穂状の花になる。７～８月枝の先に白色の小さな両性花を多数つけ、その中にひときわ際目立つ白い装飾花をまばらにつける。純白色で実に清々しい。花弁に見えるのは萼片が花弁状に変化したもの。

日本全土の日当たりの良い山麓や原野に普通に自生している。そのほか南千島、樺太、中国など東アジアにも分布している。
樹皮に多量の粘液を含み、和紙をすくとき水に加えて糊料とし、繊維を均一に分散するのに使われたのでノリノキと呼ばれる。ノリウツギの名もここから出ている。
北海道では「サビタ」の名があり戦前は和紙作りに盛んにサビタ糊が使用された。

命名者　シーボルトは１８６２年本種の園芸種ミナズキ（ピラミッドアジサイ）をオランダに持ち帰った。サクラを研究のため日本を訪れていた、イングラムは野生種のノリウツギを持ち帰った。これらを元に、ヨーロッパでは改良が進み多くの園芸種がつくられた。

参考文献
　　・朝日百科　世界の植物　（朝日新聞社）
　　・薬用植物学各論　木村康一・木島正夫共著　（広川書店）
　　・花と樹の事典　木村陽一郎　監修　　（柏書房）
　　・山渓カラー名鑑　日本の樹木　（山と渓谷社）（コメント）

（コメント）
迄、植物を系統的に分類する方法ではシダ植物と種子植物、裸子植物と被子植物、単子葉植物と双子葉植物というような方法が親しまれてきたが、近年、ＤＮＡ配列に基づく系統関係から、従来とは異なる配列がとられるようになった。
ＡＰＧによる大分類で、１９９８年に最初の系統的分類ＡＰＧⅠが発表されてから改定が加えられ、現在は２００９年のＡＰＧⅢが発表されるに至っている。
その結果、従来ユキノシタ科に属していたアジサイ属のアマチャ、アマギアマチャ、ノリウツギはアジサイ科としてユキノシタ科から独立した。

ノリウツギ（糊空木）

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